AMD EPYC Venice(Zen 6)のエンジニアリングサンプル(ES)がベンチマークデータベースに登場しました。最大192コア構成のサンプルがSP7プラットフォーム上でテストされており、ES段階ながら現行のEPYC Turin(Zen 5)に迫る性能を記録しています。
Zen 6 EPYC VeniceのES品ベンチマークが登場
VeniceはAMDの第6世代EPYCファミリーのコードネームで、現行の第5世代Turin(Zen 5)の後継にあたります。CCDあたりのコア数は従来の8コアから12コアに増加し、製造プロセスにはTSMC 2nmを採用する見込みです。AI需要の拡大によりデータセンター向けCPUには高い性能が求められており、EPYC Veniceはすでに多くの受注を受けているといわれています。
そんなEPYC VeniceのESが、「Congo」「Kenya」「Nigeria」と名付けられた3種のSP7評価ボード上でベンチマークデータベースのopenbenchmarkingに登録されていることが判明しました。
192コア、128コア、64コアの3構成が登録される
openbenchmarkingに登録されたVenice ESは以下の構成です。
| プラットフォーム | ソケット数 | コア / スレッド | クロック | メモリ構成 |
|---|---|---|---|---|
| Congo | 1P | 192 / 384 | 4.02 GHz | DDR5-8000 64GB×8(512GB) |
| Congo | 1P | 64 / 128 | — | DDR5-6400 64GB×4(256GB) |
| Kenya | 1P | 128 / 256 | 4.02 GHz | DDR5-8000 128GB×2(256GB) |
| Nigeria | 2P | 192 / 384 ×2 | — | DDR5-8000 64GB×32(2TB) |
| Nigeria | 2P | 128 / 256 ×2 | — | — |
| Nigeria | 2P | 64 / 128 ×2 | — | — |
現行のSP5プラットフォームがDDR5-5600までの対応だったのに対して、SP7ではDDR5-8000に対応していることが確認できます。Nigeriaプラットフォームでは最大2TBのメモリ構成も確認されており、AI/HPC向けの大容量メモリ需要を見据えた設計がうかがえます。
ES段階でTurin同等の性能。製品版ではさらに大幅向上?
これらのESは7-ZipおよびX265エンコードでベンチマークが行われています。ESのため最終製品とは性能が異なりますが、現行Turin製品版との比較は以下の通りです。
7-Zip(1Pプラットフォーム)
| CPU | コア数 | 圧縮(MIPS) | 展開(MIPS) |
|---|---|---|---|
| Zen 6 Venice ES | 192 | 898,580 | 1,032,521 |
| Zen 5 Turin | 192 | 1,021,461 | 976,213 |
| Zen 6 Venice ES | 64 | 446,173 | 456,886 |
| Zen 5 Turin | 64 | 480,112 | 502,105 |
x265エンコード(1Pプラットフォーム・128コア)
| CPU | 4K(fps) | 1080p(fps) |
|---|---|---|
| Zen 6 Venice ES(128コア) | 46.55 | 116.42 |
| Zen 5 Turin(128コア) | 35.3 | 130 |
7-Zip(2Pプラットフォーム・192コア×2)
| CPU | 圧縮(MIPS) | 展開(MIPS) |
|---|---|---|
| Zen 6 Venice ES | 1,577,972 | 1,187,518 |
| Zen 5 Turin | 1,493,050 | 1,738,739 |
192コア同士で比較すると、7-Zipの圧縮ではTurinを約12%下回る一方、展開では約6%上回っています。128コアのx265では4K処理でTurinに対して32%もの差をつけているものの、1080pでは10%下回るなど、ベンチマークによって得意不得意がある状態です。
ESの段階でクロックやキャッシュの最適化が進んでいないことを考慮すると、製品版でこれらのスコアから改善される余地は十分にあります。AMDはZen 6世代で性能と電力効率を70%向上させるとしており、製品版での性能には期待が持てそうです。
コンシューマー向けZen 6も開発が順調?
EPYC VeniceはAI需要によりデータセンター向けCPU性能が強く求められる中で、すでに多くの受注を受けているといわれています。今回のベンチマークでは、ESの段階で現行Turinの製品版と同等の性能に達していることが確認されており、過去のEPYC世代でもESから製品版にかけて性能が大きく改善されてきた経緯を考えると、Venice製品版ではTurinを上回る性能を発揮する可能性が高いといえそうです。
なお、EPYC Veniceに使われるZen 6 CCDはコンシューマー向けのRyzenにも採用されるため、既にサーバー向けでES品が登場していることから、デスクトップ向け製品もES品が近いうちに登場すると考えられ、同じくベンチマークなどが登録されてくるものと考えられます。そのため、今後コンシューマー向けZen 6 Ryzenについても性能が徐々に明らかになるなど動向に注目が集まりそうです。


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