Windows 11のNVMeドライバー有効化でSSD性能が最大85%向上へ

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MicrosoftはWindows Server 2025向けにNVMe専用ドライバを導入しましたが、同ドライバをWindows 11でも有効化する方法が発見されました。特にランダムアクセス性能が最大85%向上するなど、NVMe SSDの性能が大幅に向上することが明らかになっています。

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Windows Server 2025の機能をWindows 11向けに有効化。

Microsoftは2025年12月16日、Windows Server 2025向けに「Native NVMe」と呼ばれるNVMe専用ドライバを正式に発表しました。NVMe規格が登場してから約14年、Windowsがようやくネイティブ対応を果たした形となります。なお、LinuxやVMwareでは10年以上前からNVMeへのネイティブ対応が実現しており、Windowsの対応は大幅に遅れていました。

従来のWindowsでは、NVMe SSDであっても内部的にはSCSI(Small Computer System Interface)というレガシー規格を経由して処理されていました。SCSIはHDDが主流だった時代に設計された規格で、1キューあたり32コマンドという制限があります。一方、NVMeは最大64,000キュー、各キューで64,000コマンドを同時処理できる設計となっており、従来のSCSI変換ではこの性能を十分に引き出せていませんでした。

Microsoftの公式テストでは、Windows Server 2022と比較して最大80%のIOPS向上と最大45%のCPU負荷削減が確認されており、データベース処理や仮想化環境で大きな効果が期待されています。

ただし、この機能は現時点ではWindows 11には投入されていません。しかし、基本的なコンポーネントはWindows Server 2025と同じであることから、NVMe専用ドライバをWindows 11でも有効化できることが判明しました。性能の向上率もかなり大きいことが確認されています。

ランダム読み取り性能は12%、書き込みは85%向上

XユーザーのMouse&Keyboard氏が、Windows 11で「Native NVMe」を有効化した状態でSK hynix Platinum P41 2TBを使用してベンチマークを実施しました。その結果、AS SSDベンチマークのスコアは10,032から11,344へと約13%向上したとのことです。特にランダム書き込み性能では、4Kで16%、4K-64Thrdで22%の向上が確認されています。

また、Redditに投稿されたテストでは、MSI Claw 8 AI+にCrucial T705 4TBを搭載した環境での検証結果が報告されています。シーケンシャル速度の改善は限定的だったものの、ランダム読み込み速度は12%向上し、ランダム書き込み速度は85%という大幅な向上を記録しました。

変更するにはレジストリ操作が必要。ゲーミングでの性能向上は限定的

Windows 11でNVMe専用ドライバを有効化するには、レジストリ操作が必要になります。

レジストリ操作はシステムに影響を与える操作です。何をしようとしているのか十分に確認・調査した上で実行してください。

操作方法としては、管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下の3つのコマンドを順番に入力してレジストリキーを追加します。

reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Policies\Microsoft\FeatureManagement\Overrides /v 735209102 /t REG_DWORD /d 1 /f
reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Policies\Microsoft\FeatureManagement\Overrides /v 1853569164 /t REG_DWORD /d 1 /f
reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Policies\Microsoft\FeatureManagement\Overrides /v 156965516 /t REG_DWORD /d 1 /f

PCを再起動後、正常に適用されている場合は、デバイスマネージャー上でSSDドライブが「ディスク ドライブ」ではなく「ストレージ ディスク」の配下に表示されます。また、ドライバ詳細ではdisk.sysからnvmedisk.sysに変更されている状態となります。

このランダム読み書き性能の大幅な向上は、ファイルへのアクセスが頻発するファイルサーバーや、データベース処理、AI・機械学習などの用途で大きな効果を発揮します。特にファイルサーバーにSSDを使用しているユーザーであれば、効果を実感できるでしょう。

一方で、シーケンシャル読み取り性能が求められるゲーミングなどでは、NVMe専用ドライバを有効化しても性能向上は限定的です。

また、SSD購入時にバンドルされているメーカー独自の管理ツール(Samsung MagicianやWestern Digital Dashboardなど)は、新しいNVMe専用ドライバとの互換性がないため、正常に動作しなくなる可能性があります。

コメント・考察

NVMe専用ドライバはWindows Server 2025向けの機能ですが、Windows 11でも動作することから、Microsoftは近日中にこの機能をWindows 11へ正式対応させてくる可能性があります。

特に注目したいのは、Microsoftが2022年にリリースしたDirectStorageとの関連です。DirectStorageはゲームデータをCPUを介さずGPUに直接転送する技術ですが、ストレージからのデータ読み出し部分には手が付けられていませんでした。今回のNVMe専用ドライバの投入により、DirectStorageの性能向上も期待できるかもしれません。

ただし、Windows 11は様々なデバイスに導入されているため、このようなストレージ関係の大規模刷新にはリスクが伴います。仮に投入されたとしても、新規インストールされるデバイスから段階的に対応が進められるか、今回のように特別な操作を加えないと既存のWindows 11環境では動作しないといった対応も考えられます。今後Microsoftがどのような対応を取るのか、注目が集まります。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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