Microsoftは自社のWindows 11ユーザーに対して自社製アプリの使用頻度を上げようと、ユーザーの同意なしにアプリをインストールする試みを何度か実施しています。今回新たに、Microsoft 365を利用するユーザーを対象に3つのアプリを自動インストールする計画を明らかにしました。
「生産性向上」を理由に10月から3つのアプリを自動インストールへ
Microsoft 365 Admin Centerに掲載された告知によると、同社は「Microsoft 365 Companion」として、People、Calendar、Filesという3つの小型アプリを提供します。これらのアプリは当初オプションとして提供されていましたが、今後Windows 11でMicrosoft 365のデスクトップ版を利用する全ユーザーに対して自動インストールされることになります。
Microsoftは8月に「Microsoft 365 Companion」の自動インストール計画を発表しており、今回具体的なスケジュールが明らかになりました。10月下旬から順次アプリの配信が開始され、12月下旬までにすべてのユーザーへの配信が完了する予定です。
スタートアップ時の自動起動も導入・・・

これらのアプリはタスクバーから小さなウィンドウで起動でき、組織内のファイルや連絡先、予定などに素早くアクセスできる機能を持ちます。また、Copilotとの統合により、状況に応じたAIアシスタンス機能も利用可能です。
問題となるのは、これらのアプリがユーザーの許可なくインストールされるだけでなく、PC起動時に自動的に起動するよう設定されることです。Microsoftはこの理由について「ユーザーがアプリを開いた瞬間に関連する結果を表示できるようにするため」と説明しています。
なお、Microsoftは今回の変更について次のように述べています。
これらのタスクバー統合アプリは、日常的な作業を効率化し、ユーザーが集中を維持し、コンテキストの切り替えを減らし、タスクをより速く完了できるよう設計されています。Copilot統合により、ユーザーは共有ファイル、会議、共同作業者など、適切な文脈でプロンプトを実行できます。この統合により、効率的にキャッチアップし、要約し、アクションを実行できます
Microsoft 365 メッセージセンター(2025年10月1日)
Microsoftとしては同機能を投入することで、連絡や日常的に使うファイルや予定へのアクセスを容易にできるなどメリットを謳っていますが、既に連絡先一覧や予定などはTeamsやOutlookから確認できるほか、組織内のファイルもエクスプローラーかSharePointへアクセスすれば表示されるため、利便性について大幅に向上するとは言えない変更になっています。
オプトアウトは可能だが設定が必要
この変更はMicrosoft 365アプリを導入している全Windows 11ユーザーに適用されますが、IT管理者は「Admin Center」の設定からアプリのインストールを回避できます。ただし、自ら設定をしない限りインストールされます。また、インストールされた場合でも、後でアンインストールは可能なほか、各アプリ設定から起動時の自動起動を無効化することもできます。
なお、今回はMicrosoft 365に加入しているユーザーが対象ですが、Microsoftにとってサブスクリプションプランへの加入は収益に直結するため、今後一般ユーザーにも一部機能を「生産性向上」と称してアプリの強制インストールなどを実施する可能性があります。無駄なアプリを入れたくないというユーザーは、状況を注視する必要があります。
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