SK HynixのDDR5在庫が2週間分しかない。HBM需要でメモリ不足が深刻化

SK HynixのDDR5在庫が約2週間分にまで減少し、事実上「生産即出荷」の状態に陥っていることがモルガン・スタンレーの分析で明らかになりました。この背景には、AI向けHBM(High Bandwidth Memory)の需要急増によってDRAM製造能力が圧迫されている状況があり、PC向けDDR5やスマートフォン向けLPDDR5Xなどの一般消費者向けメモリー製品の供給不足と価格上昇が避けられない状況になっています。

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SK HynixのDRAM在庫は2週間分、NAND在庫も4〜5週間に

モルガン・スタンレーは2025年10月31日、SK Hynixの在庫状況に関する分析レポートを発表しました。それによると、SK HynixのDDR5在庫は約2週間分にまで減少し、実質的に「生産即出荷」の状態になっているとのことです。さらに、NAND型フラッシュメモリーの在庫も4〜5週間分まで減少しており、メモリー製品全般で供給が逼迫している状況が浮き彫りになっています。

SK Hynixは2025年第3四半期の決算発表で、営業利益が前四半期比で62%増加したことを明らかにしました。この急成長の原動力となったのが、AI向けデータセンター用のHBM製品の完売状態です。同社はHBM市場で64%のシェアを獲得しており、業界をリードする立場にあります。ちなみに、2位のMicronは21%、3位のサムスンは15%のシェアとなっています。

さらに、SK HynixはDRAMとNANDの製造能力を2026年まで完全に予約済みであることも発表しており、次世代のHBM4についても2025年末までに出荷を開始する計画を示しています。この状況は、同社の製造ラインがフル稼働状態にあり、新規の大口注文を受け入れる余力がほとんどないことを意味しています。

HBM需要の高まりでDDR5やLPDDR5Xの供給が圧迫

モルガン・スタンレーの分析では、AI向けサーバーの普及がDRAMやNANDなどの汎用メモリー需要を大幅に刺激し、業界全体の在庫を急速に減少させていると指摘しています。特にHBMの需要急増が、限られたウェハー製造能力の中でDDR5やLPDDR5Xなどの一般消費者向けメモリー製品の生産枠を圧迫している状況です。

実際、DDR5メモリーの平均納期は現在26週間から39週間に延びており、注文から納品まで半年以上かかる状況になっています。これは製造能力の大部分がHBMに振り向けられているためで、PC向けメモリーの供給が極めて厳しい状況にあることを示しています。

また、この状況はスマートフォン向けメモリーにも波及しています。LPDDR5Xは、スマートフォンやタブレット、薄型ノートPCなどで使用される低消費電力版のDRAMですが、HBM需要によってDRAM製造能力全体が圧迫されることで、LPDDR5Xの生産量も減少し、価格上昇につながっています。

Xiaomiの盧偉冰総裁は、自身のWeiboアカウントで「Xiaomiはグローバルサプライチェーンのトレンドを変えることはできず、ストレージコストの上昇は予想よりもはるかに大きく、今後も上昇し続ける」とコメントしており、スマートフォンメーカー側も価格上昇圧力に直面していることが明らかになっています。

2026年まで続く供給不足とメモリー価格の上昇圧力

モルガン・スタンレーは、予想外のDRAMとNAND需要の急増により、2026年には深刻な供給不足が発生する基盤が整っており、この強気な市場環境は2026年を通じて継続する可能性が高いと予測しています。

この予測が現実となった場合、PC向けDDR5メモリーやスマートフォン向けLPDDR5X、さらにはSSD用のNANDフラッシュメモリーなど、幅広いメモリー製品で価格上昇が続くことになります。特にハイエンドゲーミングPCやクリエイター向けワークステーションなど、大容量メモリーを必要とする用途では、システム全体のコストが大幅に上昇する可能性があります。

また、スマートフォン市場では、フラッグシップモデルを中心に価格上昇が避けられない状況になると見られており、消費者の買い替えサイクルが延びる可能性も指摘されています。

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Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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