DRAM価格は2025年後半からAI需要や供給不足を背景に各社が値上げを続けていますが、サムスンとSK Hynixは2026年第二四半期もDRAM価格を大幅に引き上げる事を通知。さらに、調査会社も2026年末までにメモリ価格は130%上昇する見通しを明らかにしました。
サムスンとSK Hynix、第2四半期のDRAM価格を大幅引き上げへ
DRAM市場ではAI向けのデータセンター建設ラッシュを受けて需要に対して供給が不足している状態が続いています。この需給バランスの崩れを受けてDRAMを製造する各社は大幅な値上げを実施しており、DDR5メモリなどの販売価格は2025年初旬に対して2026年2月現在で約3〜4倍に膨れ上がっています。
ただ、この大幅な値上げは留まる気配がなく、DRAM製造大手であるサムスンとSK Hynixは2026年第2四半期におけるDRAM供給の価格を引き上げることを顧客に通知したことが明らかになりました。
供給優先で価格は二の次。大口と中小での調達格差も広がる
業界関係者によると、サムスンの供給量は需要に対して60%にも満たない状況とのことです。そのため、顧客側は供給価格よりもDRAM自体が供給されることを最優先に交渉を進めており、多くの顧客は大幅な値上げに対して抵抗していないとされています。
また、この価格高騰や供給不足を受けて、NVIDIAやAppleなど大口顧客とそれ以外の中小顧客の間で調達を巡る格差が広がりつつあるとのことです。大口顧客は半期単位で供給量と価格帯を事前に取り決める契約を結んでおり、市場価格が急騰しても合意した範囲内で調整されるため影響が緩和される構造となっています。一方で、中小顧客はメモリ価格が安価だった頃には有利だった月次契約を結んでいるケースが多く、メモリ価格が急騰する環境下では契約更新のたびに高騰した市場価格がそのまま反映されることになります。一部では直前の契約価格から2倍以上の引き上げを求められるケースもあるとのことです。
なお、ここで挙げられている中小顧客にはスマートフォンメーカーやPC向けメモリを供給する企業などが多く含まれていると考えられ、今後もコンシューマー向け製品においてはメモリ価格高騰を背景とした値上げが続く可能性が高いと見られています。
供給能力は横ばい。2026年末までにメモリ価格は130%高騰も
市場調査会社のGartnerによると、DRAMやSSD含むメモリ製品全体の価格は2026年初めから年末にかけて130%上昇する見通しとのことです。この値上げに直結する供給量に関しても、メモリ大手3社の2026年のDRAM供給能力は前年比で横ばいか微増に留まる見通しとなっています。さらに、2026年生産分のDRAMのほとんどはすでに顧客が確保してしまっている状態で、サムスンやSK HynixなどDRAM製造大手の売り手市場がしばらく続く見通しとなっています。
メモリについては日を追うごとに値上げが行われており、サムスンもSK Hynixも旺盛な需要を背景に2026年いっぱいは四半期ごとに値上げを実施する可能性が高いと見られています。メモリメーカー各社にとっては業績拡大の好機といえる状況で、この収益がDRAM製造設備への追加投資に回れば中長期的には供給量の増加につながる可能性もあります。
ただ、コンシューマー向け製品への影響は避けられない状況です。上述の通りNVIDIAやAppleなど大手はメモリ調達が辛うじてできている一方で、中小顧客は調達や価格交渉に苦戦していることが明らかにされています。そのため、今後は非大手企業での事業撤退やコスト転嫁による製品値上げが相次ぐ可能性がありそうです。こうした状況が続けば、消費者の需要も押し下げられることは避けられないと見られますが、AIブームが続く限りメモリの需給逼迫は改善しにくい構造といえます。
そのため、AIブームがいつまで続くのか、またメモリメーカーの設備投資による供給増がいつ価格の安定につながるのか、今後の動向に注目が集まります。


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