SSDに関してはDDR5などDRAMほどの値上げには晒されていませんが、MicronがCrucialブランドを撤退させるなど、今後の需給状態には懸念があります。そうした中、コンシューマー向けで人気が高いサムスンが、SATA SSDの生産終了を近いうちに検討していることが明らかになりました。
サムスンがSATA SSDの生産を終了する可能性
SATA SSDは容量あたりの単価が安く、旧世代PCやノートPCへの搭載も容易であることから、コンシューマー向け用途で人気となっています。しかし、SATA SSD市場で高いシェアを持つサムスンが、近いうちにすべてのSATA SSDの生産を終了する可能性が出てきているようです。
収益性が低いSATA SSDを撤退し、NVMe SSDへ集中し収益性を向上
海外テック系YouTubeチャンネル「Moore's Law is Dead」が代理店や小売店など複数の情報筋から入手した情報によると、サムスンはSATA SSDの生産をまもなく終了する見込みです。既存契約が終わり次第、SATA SSDの生産は完全に終了することを計画しているとのことです。
この理由として挙げられているのが、SATA SSDの収益性の低さです。SATA SSDはSerial ATA(従来型のストレージ接続規格)を採用しているため、読み書き速度がNVMe SSDと比べて遅く、2.5インチベイを使用するなどレガシー規格の製品となっています。消費者の多くはパフォーマンスよりも低価格であることを求める傾向にあり、収益性はかなり低くなっています。
そのため、サムスンとしてはSATA SSD市場からは撤退し、コンシューマー向けにはNVMe SSD、サーバー向けではSAS(高信頼性のエンタープライズ向け接続規格)を中心に販売を展開する考えのようです。
サムスンのSATA SSD撤退で、NVMe SSDの需給も悪化へ
MicronによるCrucialブランドの撤退により、安価で定評のあるBX500などのSATA SSDは入手困難となります。ただし、MicronはADATAなどサードパーティーへのNANDチップ供給は継続する意向を示しています。
一方、サムスンに関しては、同社が製造する870シリーズなどのSATA SSDに加え、サードパーティーへのNANDチップ供給も停止する可能性があります。仮にそうなれば、SATA SSDは市場から一気に枯渇する可能性があるようです。
サムスン製SATA SSDが市場から消えることが確定した場合、需給状況の悪化を懸念して消費者やBTOメーカー、企業などがパニック買いに走る可能性もあります。短期的にSATA SSDの価格が暴騰するほか、NVMe SSDの購入にシフトする消費者も増える可能性が高いでしょう。その結果、すでに需給状態が芳しくないNVMe SSDの価格をさらに高騰させる要因になることが懸念されています。
SATA SSDは容量あたりの単価が安く、新旧問わず多くのPCで互換性があるため、コストを優先したPCで使われる傾向にありました。しかし、そのような製品であるがゆえに収益性は決して高いとは言えません。NAND需要の拡大や値上がりをきっかけに、収益性の低い製品や事業は積極的に終了する姿勢と言えそうです。
なお、現時点でサムスンは正式発表しておらず、あくまで噂段階ではあります。ただ、本当に撤退するかしないかに関わらず、SATA SSDやNVMe SSDなどNANDフラッシュ製品の価格は値上がり傾向にあります。購入を検討している人は、早めに購入を進めることをおすすめします。



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