メモリ不足に伴う価格高騰は、自作PCやBTO、ノートPCなどの製品に影響を及ぼし始めています。すでにノートPCでは20〜30%の値上げが実施されている状況ですが、メモリ製造大手サムスンの共同CEOであるTM Roh氏は、PC関連に留まらず家電など様々な製品の値上げに直結するという見解を明らかにしました。
メモリ不足はコンシューマー向け製品全般に波及へ
メモリ不足は現在、テクノロジー業界全体で深刻な問題となっています。2026年第1四半期のDRAM契約価格は前四半期比で50%以上上昇すると予測されており、サムスンやSK hynixといった大手サプライヤーは長期契約(LTA)の締結に消極的な姿勢を見せています。
その結果、PC用メモリであるDDR5の価格は2025年初頭に比べて約3倍で推移しているほか、ノートPCは20〜30%の値上げ、グラフィックカードも品薄と大幅な値上がりなど、様々な製品の価格が上昇しています。
こうした中、サムスンの共同CEOであるTM Roh氏はロイター通信のインタビューで「スマートフォンだけでなく、テレビから家電製品まで影響を受ける」と語っており、PC関連のみならずテレビや家電なども値上がりする可能性があるようです。
AI向け優先で消費者向けは後回し。テレビや家電の値上げも避けられない
サムスンはDRAM需要急騰に対応すべく生産能力の増強に取り組んでいますが、その多くは既存工場のDRAM生産ラインの拡張やNANDフラッシュからの転換に留まっています。また、生産体制の見直しなどにより短期的に生産能力の増強が実現しても、収益性の観点からその多くはAI向け製品へ優先的に配分される見通しです。
さらに、上述のとおり一部NANDフラッシュの生産ラインがDRAM向けに転換する動きも見られているため、DRAM不足に加え、今後NANDフラッシュの供給がさらに逼迫する可能性もあります。SSDなどストレージ製品への影響も懸念されます。
そのため、機能の高度化でDRAMやNANDを多用しているテレビに加え、最終的には洗濯機や冷蔵庫など家電までコスト上昇に伴う値上げが懸念されています。TM Roh氏もその可能性を否定せず「避けられない部分がある」と述べています。
ただ、その一方で世界最大のテレビメーカーであるサムスンは、パートナー企業と協力して影響を最小限に抑えるための長期戦略を策定中とも明らかにしています。コンシューマー向けDRAMやNANDの供給体制作りも模索しているようです。
メモリ不足と価格高騰は2026年中も続く見通し。スマホやPCの需要は下落
多くの調査会社によると、メモリ不足やそれに伴う価格高騰は2026年中も続く見通しです。また、このメモリ高騰によるPCやスマートフォンなど最終製品の値上がりにより、需要が大きく下落する見込みで、2026年は前年比でノートPCが2.4%減、スマートフォンが2.0%減と予想されています。
なお、本来であれば2026年はWindows 10のサポート終了に伴う延長セキュリティ更新プログラム(ESU)の期限やAI PCの普及などにより、価格高騰が反映される前までは1.7%の需要増が見込まれていました。
今後、これらの価格高騰はテレビや家電など広い範囲にまで波及することが予想されています。消費者にとっては値上がりの影響が、各企業にとっては需要減少の影響が懸念される状況となっています。
DRAMやNANDなどメモリ半導体は、PCやスマートフォンに限らず、家電に加え自動車や産業機器にまで広く用いられている必須部品です。そのため、これら製品の品薄や値上がりが中長期的に幅広い分野へ影響を与えることは予想されていました。
ただ、今回サムスンのCEOがPC、スマホ以外にもテレビ、家電の値上げに言及したことや、サムスン自身がこれらの製品を製造していることを踏まえると、近いうちに値上げされる可能性はかなり高いといえそうです。
このメモリ不足はまだ改善の兆しが見えておらず、原因でもあるAI投資も収まる気配はありません。CES 2026ではNVIDIAがRubin GPUを発表するなど、AI関連の動きは加速しています。少なくとも2026年中は状況が続き、場合によっては2027年まで影響が残る可能性すらありそうです。



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