AMDのRyzen 5000シリーズとソケットAM4は発売されてからすでに5年以上経っている製品になっており、AMDは同製品をエントリー向けとして限定的なラインアップで販売をしています。しかし、昨今問題になっているDRAM品薄と価格高騰を背景に、販売が大きく伸び始めているようです。
世界中でソケットAM4対応CPUの販売が伸びている
ソケットAM4対応CPUは、2020年に発売されたZen 3アーキテクチャ搭載のRyzen 5000シリーズを最後に、新しいアーキテクチャを採用した製品は登場していません。現在はエントリーモデルとして徐々にラインアップが縮小されながらも、細々と販売が続けられています。
しかし、そんなRyzen 5000シリーズなどソケットAM4対応CPUが、DRAM価格高騰によりソケットAM5などへアップグレードできないユーザーの間で、緊急避難的な選択肢として注目を集めています。世界各国で販売が伸び始めているようです。
日本ではトップ10の内3製品がRyzen 5000シリーズに

CPUの販売ランキングは、主にRyzen 9000シリーズやCore Ultra 200シリーズなど比較的新しいCPUがランクインする傾向にありました。しかし、直近のAmazonの販売ランキングでは、Ryzen 7 5700Xが2位と9位、Ryzen 5 5500GTが4位と、トップ10の中に3製品がランクインしています。旧世代CPUとしては異例の人気です。

Amazonと同様の傾向は価格.comの販売ランキングでも確認されています。Ryzen 7 5700Xが1番人気で、上位12製品中5製品がRyzen 5000シリーズです。また、Core i5-14400FやCore i5-12400などを含めると、半分以上がDDR4対応CPUとなっています。
海外でもAM4対応CPUの販売が増加中
📈 CPU Retail Sales Week 51 '25 (mf)
— TechEpiphany (@TechEpiphanyYT) December 23, 2025
Total AM4 share rising to 34%, lowering ASP.
High-margin 5X00X3D sales could be cashed in on right now — but AMD EOL’d them.
ℹ️ Units
AMD: 1925 units sold, 91.45%, ASP: 259
Intel: 180, 8.55%, ASP: 248
ℹ️ Revenue
AMD: 498736, 91.77%
Intel:… pic.twitter.com/MJFaw1nGnZ
Ryzen 5000シリーズなどソケットAM4対応CPUの躍進は、ドイツのMindfactoryやアメリカのAmazonでも確認されています。ドイツのMindfactoryでは、ソケットAM4対応CPUのシェアが2週間前までは約24%だったものが、直近では34%まで拡大しているとのことです。
また、最新の販売ランキングではRyzen 5000シリーズの3製品がトップ10に入り、トップ20では9製品もランクインしている状況です。

同様の結果は北米でも確認されており、北米Amazonではトップ10のうち4製品がAM4プラットフォームで、トップ20では9製品がAM4対応CPUとなっています。
AM4マザーボードもAmazonの売れ筋ランキング1位に
Ryzen 5000シリーズなどソケットAM4対応CPUはDDR4メモリに対応しています。そのため、例えばIntel Skylake世代などWindows 11に非対応となる古いCPUからの乗り換えでも、マザーボードとCPUを買い換えるだけで既存のDDR4メモリをそのまま流用できます。

このような用途を想定するユーザーが多いのか、Amazonのマザーボード売れ筋ランキングではトップ10のうち5製品がソケットAM4対応マザーボードとなっています。
また、このランキングの1位と2位には、1万円から2万円とエントリー向けとしては高めのB550マザーボードがランクインしています。DDR4をそのまま流用でき、そこそこ高い性能が期待できるRyzen 5000シリーズが、コストパフォーマンスの良い選択肢として一部ユーザーから注目を集めているようです。
なお、Ryzen 5000シリーズはすでに登場から5年が経過し、ソケットAM4に至っては登場から9年が経っています。そのため、AMDは近いうちにフェーズアウトを見据えてラインアップ縮小などを進めていました。しかし、今後もDDR5などメモリ価格の高騰が予想されるため、ソケットAM4は登場から10年が経っても現役として活躍するかもしれません。Ryzen 5000シリーズのモデル追加や再生産が行われる可能性もあります。
Ryzen 5000シリーズは古いCPUにはなっていますが、Windows 11にもしっかり対応でき、性能も高いゲーミング性能を求めなければ実用に耐えられるレベルにあります。Windows 10からWindows 11への乗り換えという目的であれば、DDR4が流用でき、コストを抑えられるベストな選択肢といえるでしょう。
なお、Intelも第12世代から第14世代CPUまでDDR4に対応するマザーボードを発売しています。しかし、価格がRyzen 5000シリーズより高いことがネックとなっています。Ryzen 5000シリーズへ買い替える層の多くは、性能より手持ちのDDR4を使って安くWindows 11対応化を目指していると考えられます。そのため、AMDとは対照的にIntelのDDR4対応製品はあまり売れていないものと推測されます。



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