AMDは2026年後半に登場するZen 6までの繋ぎとして、2026年初頭にZen 5系のリフレッシュモデルを投入します。その中でノートPC向けハイエンドモデルとなるRyzen AI 9 HX 470のベンチマークがGeekbenchに登録され、スペックや性能が明らかになりました。
Ryzen AI 9 HX 470のGeekbench結果が登録される
AMDはCES 2026でデスクトップ向けにはRyzen 9 9950X3D2やRyzen 7 9850X3Dなど3D V-Cacheモデルを、ノートPC向けには現行のStrix PointのリフレッシュモデルとしてGorgon Pointを投入予定です。Gorgon PointはRyzen AI 400シリーズとして発売される見込みですが、今回この中でハイエンドモデルとしてラインアップされるRyzen AI 9 HX 470のGeekbenchベンチマーク結果が登場しました。
Ryzen AI 9 HX 470は動作クロック大幅向上


Geekbenchに登録されたRyzen AI 9 HX 470はLenovo製ノートPCに搭載されたもので、基本的な構成は現行のRyzen AI 9 HX 370と同じく、Zen 5を4コア、Zen 5cを8コアの合計12コア搭載しています。また、内蔵GPUにはRadeon 890Mが搭載されています。
ただし、リフレッシュモデルということで動作クロックが大きく引き上げられています。CPU側は現行モデルが最大5.1 GHz動作ですが、Ryzen AI 9 HX 470では5.25 GHzに向上しました。
内蔵GPUも同様に強化されており、動作クロックは最大3.1 GHzに設定されています。これは現行の2.9 GHzから約7%の向上となります。
CPU性能はマルチコアは約20%向上。全体的に動作クロック高めに?
| モデル | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|
| Ryzen AI 9 HX 470 | 2,978 | 15,968 |
| Ryzen AI 9 HX 370 | 2,591 | 13,321 |
Geekbench 6のベンチマーク結果では、Ryzen AI 9 HX 470がシングルコアで2,978点、マルチコアで15,968点を記録しました。これは前世代のRyzen AI 9 HX 370と比較すると、シングルコアで約15%、マルチコアで約20%の性能向上を達成しています。
ブーストクロックの向上幅は約3%に留まっていますが、リフレッシュを経てRyzen AI 9 HX 370より高い動作クロックを長時間維持できるようになった可能性があります。その結果、現行モデルより消費電力や発熱が抑えられている可能性が高いと見られています。
一方で、内蔵GPUのベンチマークスコアは現行モデルより30%近く低い数値が出ています。これはドライバーの最適化不足などにより正確な計測ができていないためと考えられます。動作クロックベースで見ると現行モデルより少なくとも7%は向上するはずで、OpenCLではGeForce GTX 1650相当の40,000ポイントほどを獲得できると予想されます。

ただし、このスコアは同時期に登場するIntel Panther Lake(Core Ultra X)で記録されている57,000ポイントには及びません。TDP 28〜50WクラスのCPU内蔵GPU性能では、Intelに王座を譲ることになりそうです。
Ryzen AI 9 HX 470は現行のRyzen AI 9 HX 370のリフレッシュモデルとして投入されることもあり、CPU性能は大幅な向上を実現しています。特に、動作クロックが大きく上がっていない中でスコアだけ伸びているため、AMDは電力効率を中心に最適化を施したものと見られます。
一方で内蔵GPUは動作クロックを7%引き上げ、3.1 GHzとCPU内蔵GPUとしては高い動作クロックを実現しています。しかし、Intel Panther Lakeの性能がかなり高いため、OpenCLスコアではあるものの大きく差をつけられているのが実情です。
実際のゲーミング性能になるとドライバーの最適化度合いなどで傾向が変わる可能性はあります。ただ、少なくともCore Ultra Xとしてラインアップされるモデルの内蔵GPU性能はかなり高いと言えます。今後登場するZen 6ではこのあたりを大幅にテコ入れしなければ、内蔵GPU性能で長年リードしてきたAMDのアドバンテージがIntelに奪われることになりそうです。



コメント