PlayStation 5 (PS5)の液体金属を巡る不具合が1年半未満の本体でも発生。置き方は関係ない可能性も

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PlayStation 5(PS5)には、コンシューマー向け製品としては珍しい「液体金属」がサーマルグリスの代わりに使用されています。しかし、この液体金属について、使用期間が1年半未満の本体でも冷却性能が低下するケースが報告されていることが明らかになりました。

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PlayStation 5 (PS5)で採用されている液体金属

PS5では、APUとヒートシンク間の熱伝導率を高めることを目的に、従来使われていたサーマルグリスではなく、より熱伝導率の高い液体金属をコンシューマー向けゲーム機として初めて採用しています。これにより、本体サイズを抑えながらも最大250Wの消費電力を持つAPUを搭載することが可能になっています。

ただし、この液体金属は名前のとおり「液体」という性質を持っています。そのため、PS5を縦置きで長期間使用していると液体金属が偏り、放熱性能が低下するケースが一部で報告されていました。そして今回、わずか1年半程度の使用でこのような不具合が発生するケースが確認されました。

1年半未満のPS5 Slimで液体金属関連の問題が発生

ポーランドでゲーム機の修理を専門に扱うmodyfikatorcasper氏によると、使用期間が1年半未満のPS5 Slim(CFI-2016)において液体金属の問題が発生したとのことです。

この本体は2023年11月に発売されたPS5 Slimで、ユーザーは購入時から縦置きで使用していました。使用期間はわずか1年半程度でしたが、オーバーヒートなどの不具合に見舞われていたようです。

modyfikatorcasper氏が本体を分解したところ、APU上に均等に塗布されているはずの液体金属が乾燥・酸化し、「ドライスポット」と呼ばれる状態になっていることが確認されました。このドライスポットが発生すると、冷却性能が著しく低下してしまいます。

今回の不具合で懸念されるのは、PS5 Slimがまだ発売から2年も経っていない点です。さらに、このユーザーの使用期間は1年半未満と極めて短期間でした。ゲーム機で一般的に期待される5年程度の耐用年数を大きく下回る期間で不具合が発生したことになります。

縦置き、横置きに関わらず発生する可能性も

modyfikatorcasper氏が今回取り扱ったPS5 Slimは縦置きで使用されていました。しかし、液体金属でドライスポットが発生する原因は、液体金属が持つ高い表面張力にあるといわれています。

APUに液体金属が均等に塗布されていても、縦置きなどでヒートシンクとの接触が不均等になると、表面張力により液体金属が隙間の大きい箇所へ徐々に集まってしまいます。

また、横置きの場合でも同様の問題が起こりえます。高負荷時とアイドル時、電源OFF時では温度差が生じ、APUやヒートシンク、ブラケットなどがそれぞれ膨張・収縮します。その際に不均等な隙間が発生し、液体金属が偏ってしまう可能性があるとのことです。

そのため、PS5の液体金属関連の不具合は縦置き・横置きに関わらず発生する可能性があるとmodyfikatorcasper氏は指摘しています。

ソニーは問題を認識し、対策済み?

この液体金属を巡る問題は、これまでにも何度かメディアで取り上げられてきました。しかし、ソニーは「特に案内できる情報はない」として明確な回答を示していません。

ただし、PS5 Proや2025年11月に発売されたCFI-2100/2200型のPS5 Slimでは、ヒートシンク側に溝を設けるという変更が施されています。

ソニーはこの溝について「より安定的に冷却効果が発揮されるよう、液体金属が塗布される部分に細かい溝を追加しています」と説明しています。この変更は放熱性能の向上を目的としているとも解釈できますが、液体金属が表面張力により偏ることを防ぐための対策である可能性も考えられます。いずれにせよ、PS5 ProやCFI-2100/2200など最新のPS5では、液体金属関連の信頼性が向上していることは間違いなさそうです。

コメント・考察

PS5 Pro、CFI-2100/2200を除くPS5を使用しているユーザーに関しては、液体金属関連の不具合が発生するリスクが若干高いともいえます。ただし、不具合の発生件数としてはかなり稀なケースといえそうです。

心配な場合は、定期的にファンや吸排気口を掃除する、風通しの良い場所に設置するなど、基本的な対策を行うだけでもある程度は予防できるでしょう。

また、液体金属は表面張力が強いという性質があるため、電源オン時など各素材が熱で膨張している状態から電源をオフにした直後は注意が必要です。各素材が収縮する過渡期に本体を移動させたり衝撃を加えたりすることを控えれば、ドライスポットの発生を抑制できると考えられます。

対策を講じてもこのような不具合に遭遇してしまった場合は、保証期間内であれば保証修理、保証期間後であれば有償修理となります。PS5のような工業製品は一定の確率で不具合が発生するものです。数万円の出費となりやるせない気持ちになりますが、遭遇してしまったら「運が悪かった」と割り切るしかありません。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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