PlayStation 6 (PS6)など次世代ゲーム機はDRAM価格高騰で発売延期になる可能性

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DRAM不足は深刻化の一途をたどっており、BTOの注文停止やグラフィックカード、ノートPC、スマートフォンの価格高騰など多岐にわたっています。このままの状況が続けば、2026年に発売が予定されているSteam Machineや2027年発売予定のPlayStation 6などにも影響を与える可能性が指摘されています。

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メモリ価格がPlayStation 6 (PS6)など将来商品の発売計画に影響?

メモリ価格は2025年第四四半期に30%上昇し、2026年初頭にはさらに20%高騰することが調査会社Counterpoint Researchの推計で明らかになっています。

ただ、この影響はすでに一部製品に出始めています。自作PC用のDDR5は年初から3〜5倍程度に高騰し、グラフィックカードは品薄と大幅な値上がりが発生。BTOパソコンは受注停止と今後の値上げが示唆されています。Nintendo Switch 2についても部品代高騰により任天堂の収益性を懸念する声が上がっています。今後このDRAM価格高騰が続いた場合、次世代ゲーム機などの発売時期にも影響を及ぼす可能性があるようです。

ゲーム機の価格高騰は販売台数に大きく影響

PlayStation 5 (PS5)やXbox Series X/S、Nintendo Switch 2のようなコンソールゲーム機は、比較的高い性能を持つチップセットやメモリを搭載しています。その一方で大衆向け製品であることから価格は抑えられており、発売時点では数十万円するゲーミングPC並みの性能でありながら10万円以下で販売されています。ただ、この低価格は非常に薄い利益率のうえに成り立っており、部品コストが上昇すれば利益は簡単に吹き飛んでしまいます。

また、コンソールゲーム機は搭載された技術に対しては安価ですが、消費者目線では高価な製品です。わずかな値上がりでも販売への影響は甚大であり、ほかの消費財の価格が上がれば嗜好品であるゲーム機の購入は後回しにされる傾向があります。

US video game hardware total units sold and average price paid, Nov 1995 through Nov 2025.

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— Mat Piscatella (@matpiscatella.bsky.social) 2025年12月18日 0:30

実際に市場調査会社Circanaの調査によると、北米での2025年11月のコンソールゲーム機販売台数は2005年以来の過去最低を記録しています。主な原因として、ハードウェアコストの高止まりなどが挙げられています。

PS6など次世代ゲーム機の発売延期が視野に入るとアナリストが指摘

コンソールゲーム機のコストの大部分を占めるのはチップセットですが、メモリも2番目に高い部品として挙げられます。PS5ではGDDR6などの高性能メモリが使用されています。NYU Stern School of BusinessのJoost van Dreunen教授によると、このままDRAM価格高騰が続けば、今後1〜2年でゲーム機の価格は10〜15%上昇する可能性があると予測されています。

一方、ソニーが計画しているPS6は2027年に発売予定といわれており、3GBのGDDR7モジュールを合計10枚搭載した30GBのメモリ構成になるとされています。ただ、DRAM価格高騰が続けばこれらの部品代がハードウェアコストに大きくのしかかることは確実です。すでに価格の高止まりが販売台数に悪影響を与えていることが明白ななか、現行PS5よりさらに販売価格を引き上げることが必須となってしまいます。

また、Valveが2026年に発売を予定しているPCゲーミングプラットフォーム「Steam Machine」についても、部品コストの高騰によりメモリを搭載しないベアボーンキットを投入するなど、発売計画が複雑化する可能性があると見られています。

そのため、EmarketerアナリストのJacob Bourne氏は、ゲーム機は価格感応度が高いことから、価格高騰で売れないハードウェアを出すリスクを冒すより、単純にハードウェアの発売を遅らせることも選択肢に挙がると指摘しています。

PS5のライフ延長も現実的な選択肢に

PS6は2027年発売予定といわれているため、部品調達はDRAM価格が高止まりしたままと予想される2026年中に実行する必要があります。予定通り2027年に発売する場合、PS5に対して価格の大幅上昇は避けられない見通しです。

ゲーム機は一般的に約6年のライフサイクルがあるため、その間でコストを下げて最終的に黒字化することや、ソフトウェア販売による収益でハードウェアの赤字を補填することも可能です。ただ、DRAM価格が確実に下がる確証がないため、将来のコストダウンを見越した計画はリスクが高いといえます。

一方で、すでに製造しているPS5に関しては必要な部品を一定数確保しているほか、製造から年数も経っているためDRAM以外の部分も最適化を進めた設計に変わっており、コストダウンも進んでいます。

また、DRAM価格高騰によりPCのハードウェアスペック向上が停滞すれば、より高度なグラフィックス描写に制約がかかることにもつながります。そのため、PS5のライフサイクルを1年ほど延長することも視野に入るといえます。ただし、これ以上の延長となるとPS6のスペックが発売時点でPCに対して見劣りするというデメリットにも直面するため、ソニーがどのような舵取りをするのか今後注目が集まります。

コメント・考察

PS6はZen 6とRDNA 5が組み合わされたAPUで登場予定で、2026年初旬には試作品も登場するといわれているなど設計の大部分が完成済みです。今後は量産に向けた調達などの段階に入りますが、このタイミングでのDRAM価格高騰は痛いといわざるを得ません。

ただ、競争環境を見ると、現行のPS5はXbox Series X/Sに対して圧倒的なシェアを持っています。一方、Xboxは次世代機でハードウェアスペックの大幅な向上を図り、価格帯も現行Xboxよりさらに引き上げられてPCに近くなるともいわれています。

そのため、PS6のライバルは事実上不在の状況となります。仮にPS6の価格が非常に高くなったとしても、Xbox系にPlayStation系のシェアを奪われる心配は少なく、発売延期という選択肢も十分考えられるといえそうです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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