ソニーが開発中とされるPlayStation 6 (PS6)の携帯機版について、2027年から2028年に発売が予定されています。ソニーはPS6と互換性を持つPS5のゲームについて8スレッドでの動作を前提にゲーム最適化を進めるよう開発者に求めており、PS6携帯機版が4コアCPUを搭載する可能性が強まっています。
PlayStation 6 (PS6)の携帯機版がゲームで使えるCPUコアは4コア
ソニーは2027年以降に発売を予定しているPlayStation 6において、据え置き型機に加え同じCPUとGPUアーキテクチャーをベースにしたPS6の携帯機版(以下 PS6P)も開発していると言われています。PSPやPS VITAぶりの携帯型ゲーム機になるとして登場が期待されています。
そんなPS6Pですが、ソニーは同ゲーム機の発売時に対応ゲームが揃っている状態にするため、ゲーム開発者に対してPS6Pのハードウェアスペックを想定した性能でも動作することを強く求めていることが明らかになりました。
PS5向けSDKで「最大8スレッド=4コア」で動作することを求めるように
ソニーは2024年頃からPS5向けソフトウェア開発キット(SDK)にて「省電力モード」と呼ばれる新しい動作モードを追加しています。この「省電力モード」はPS5など据え置き型ゲーム機に搭載する意義はないため、PS6Pの存在を隠しながらゲーム開発者により低いハードウェアスペックを持つPS6Pへの対応を促す策として導入されたと見られています。
そんな省電力モードですが、Moore's Law is DeadによるとソニーはPS5向けSDKの更新を行ったようです。初期バージョン(v1.0)から最新版(v12.0)までのすべてのバージョンで「省電力モード」へ対応できるようにパッチが適用されたことを明らかにしています。
このSDKでは通常、新機能が追加された際はその時点での最新SDK以降でしか新機能が使えません。しかし、今回の「省電力モード」は過去のバージョンにも遡って適用されるため、PS5発売初期に登場したゲームでもこの「省電力モード」への対応が円滑に行えるようになっています。
また、PS5の開発者向け内部ポータルに掲載された文書では、ゲームが8スレッドのみで動作できるよう最適化を求める記述が確認されています。将来登場するデバイスではCPU構成が異なる可能性があるため、特定のスレッド数に依存しない設計を推奨する内容も含まれているとのことです。これはPS6Pがゲームで使えるCPUは最大4コアであることや、PS5、PS6、PS6PでそれぞれCPUのコア数が異なることを示唆する内容になっています。
なお、ソニーの本気度がうかがえるのが過去SDKを含めた変更という点です。過去にPS5 Pro向けの最適化は最新SDKでしかサポートされなかった一方で、「省電力モード」はすべてのSDKに遡って適用しています。ソニーとしてはPS6P発売時までに可能な限り多くのPS5タイトルがPS6Pで動作可能な状態に持っていくことを目指していると考えられます。
PS6PはZen 6cを4コアとZen 6 LPを2コア搭載と言う情報とも整合

Moore's Law is Deadは過去にPS6Pに搭載されるAPUについて明らかにしていました。コードネーム「Canis」のもと、Zen 6cを4コア、Zen 6 LPを2コアの合計6コア搭載するとのことです。ただし、この6コアのうちZen 6 LPは主にOSなどリソース管理用とのことで、実際にゲームで使えるのは4コアと見られていました。
| スペック | PS6P | PS6 | PS5/PS5 Pro |
|---|---|---|---|
| CPU世代 | Zen 6c+Zen 6 LP | Zen 6c+Zen 6 LP | Zen 2 |
| ゲーム用CPU コア/スレッド | 4コア/8スレッド | 8コア/16スレッド | 8コア/16スレッド |
| OS用CPU コア/スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | ゲーム用CPUと共通 |
そして今回のSDKや開発者向け文書で、本来8コア16スレッドのPS5向けゲームでも8スレッド(=4コア)での動作が強く求められていることから、この情報のとおりPS6Pは主にZen 6cを4コアで構成される可能性がかなり高いといえそうです。
なお、PS6Pは2027年秋以降に発売されると噂されており、2026年1月にはチップセットの試作品も出ると言われています。そのため、今後もPS6に加え、携帯機版のPS6Pに関するリーク情報も多く登場すると考えられています。
ソニーが過去に発売したPSPやPS VITAなどの携帯機は独立した開発環境であったことから対応タイトル数が少なく、結果としてハードウェアとして成功とはいえない水準の販売台数に留まっていました。
このような苦い経験を活かして、ソニーはPS6Pでは既にタイトルが豊富にあるPS5のゲームが確実に動くよう、今回のようなSDKの改修や開発者に対する働きかけを強めて準備を整えていることがうかがえます。PS6P発売時には対応タイトル数の多さを武器に販売を伸ばすことを戦略として考えているといえそうです。



コメント