Pixel 10シリーズは発売当初からImagination PowerVR GPUのドライバー完成度に課題を抱えており、一部のゲームで動作が不安定になるなどの問題が報告されていました。こうした状況に対し、Googleは2025年10月の時点でドライバーアップデートを約束していましたが、Android 16 QPR3 Beta 1の配信に合わせて、ようやくこの約束が実現したことが明らかになりました。
Google Pixel 10シリーズで課題だったGPU性能に変更が加えられる
Googleが2025年8月に発売したGoogle Pixel 10シリーズ搭載のTensor G5は、従来のSamsung Exynosベースから独自開発へと切り替えられました。それに伴い、内蔵GPUにはスマートフォン向けチップセットとしてはあまりメジャーではないPowerVR系GPUが採用されています。
この変更理由として、Googleは電力効率を重視した結果と見られています。しかしその一方で、一部ゲームがサポートを打ち切られたほか、新しいドライバーの適用に時間がかかるなどの課題も発生しました。特に、発売時には古いドライバーバージョンが搭載されていたことから、GPU性能が異常に低いことがPixel 10シリーズの問題として指摘されていました。
そんなPixel 10シリーズですが、GoogleがAndroid 16 QPR3 Beta 1の配信に合わせてGPUドライバーアップデートを実施したことが明らかになりました。
ドライバーバージョンが25.1に更新。Imagination 8月版と一致
GoogleはAndroid 16 QPR3 Beta 1アップデートをGoogle Pixel 10シリーズを含めて配信しましたが、海外ユーザーが同アップデートの適用によりPixel 10シリーズのGPUドライバーが1.602.400から1.634.2906へと更新されていることを発見しました。
詳細を確認すると、システム設定内のDriverInfoに表示されるドライバーバージョンは25.1と示されており、これはImagination Technologiesが2025年8月に発表したドライバーバージョンと完全に一致しています。
このドライバーにはAndroid 16との互換性向上に加え、Vulkan 1.4のサポートが含まれています。Vulkan 1.4への対応により、グラフィックス負荷の高いゲームやアプリケーションでより高いパフォーマンスで動作することが期待されます。
安定版への配信は今後のPixel Dropで実施予定
今回のドライバーアップデートはQPR3ベータ版での配信となるため、一般ユーザーがすぐに利用できるわけではありません。しかし、QPRビルドで導入された変更は通常、将来のPixel Dropを通じて安定版にも反映されます。そのため、ベータ版を利用していないユーザーにも、今後のアップデートで同様のドライバーが配信される見込みです。
ただし、このドライバー更新によって実際のゲーム性能がどの程度向上するかは現時点で明らかになっていません。Googleからの公式な詳細情報も発表されておらず、ドライバーの更新が必ずしも体感できるほどの性能向上につながるとは限りません。互換性向上が主な目的である可能性もあるため、実際の効果については今後のベンチマーク検証結果に注目が集まります。
Google Pixel 10シリーズの内蔵GPUとして搭載されるPowerVR DXT-48-1536は、理論上1GHzで動作し1.5 TFLOPSを発揮できます。しかし発売直後は、396MHzのアイドル周波数に固定されたまま上昇しないという報告が複数上がっていました。
これが原因かは定かではありませんが、GeekbenchのGPUスコアではPixel 9 Proの9,023ポイントに対してPixel 10 Proが3,707ポイントと大幅に下回っていました。一方で3DMarkでは約27%向上するという矛盾した結果も見られており、ドライバーの未成熟さを示していました。
今回のドライバー更新により、GPUの動作クロックの正常化やゲーミング性能の向上など、発売時に指摘されていた様々な課題が解消されることが期待されます。
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