DRAMなどの高騰で2026年はスマホやノートPCまで最大20%値上がり。ゲーム機も最大10%

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DRAMやNANDの需要急騰を背景とした値上がりにより、DDR5などパーツ単品の価格はすでに年初比で2〜3倍に高騰しています。2026年はスマートフォンやノートPC、ゲーム機など、より幅広い消費者向け製品にもこの価格高騰の影響が及ぶことが予想されています。

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AI需要により消費者向け製品の価格が急騰。需要は大幅減へ

DRAMやNANDは、スマートフォンやデスクトップPC、ノートPCを問わず必須の半導体です。DRAMはDDR5やLPDDR5などの内蔵メモリとして、NANDはSSDやmicroSDなどのストレージとして、それぞれ製品の動作性能やスペックを左右する重要な部品となっています。

これらの半導体は現在、AI需要を背景としたデータセンター建設ラッシュにより需要が急騰しています。そのため、各DRAMおよびNANDメーカーは契約価格を引き上げると同時に、単価が高く収益性も優れるデータセンター向け製品を最優先で製造。コンシューマ向けは後回しにされている状況です。

この影響は2026年にはさらに悪化することが、市場調査会社TrendForceの最新レポートで明らかになりました。

2026年の需要は増加から一転、縮小へ

TrendForceは当初、2026年はノートPCなどの需要が回復すると予測していました。しかし最新の調査では予想が一転し、2025年比で需要が減少に転じることを明らかにしています。

セグメント最新予測前回予測
スマートフォン-2.0%+0.1%
ノートPC-2.4%+1.7%

ノートPCについては、2026年はWindows 10のサポート終了に伴う延長セキュリティ更新プログラム(ESU)の期限やAI PCの登場など、さまざまな要因で買い替え需要が喚起されることが想定されていました。しかし、DDR5やNAND価格の高騰によりノートPC価格も上昇し、結果的に需要は2025年比で2.4%の縮小に転じる見通しです。

同様の傾向はスマートフォンにも見られます。当初は2025年並みの需要が見込まれていましたが、現在は2%の縮小が予想されています。

ノートPCやスマホは最大20%値上げ

需要縮小の主な原因は、DDR5やNAND価格の高騰による製品価格の上昇です。TrendForceは各製品カテゴリごとに以下のような値上げを予想しています。

製品カテゴリー想定値上げ幅主な要因
スマートフォン5〜20%先端プロセス・メモリー価格上昇
自作PC(DIY PC)15〜30%DRAM・SSD価格高騰
ノートPC5〜15%メモリー・リチウムバッテリー
ゲーム機0〜10%製品寿命が長く吸収余地あり
タブレット4〜10%市場動向により変動

特に値上がりが大きいのは自作PCです。PC全体で15〜30%ほど価格が上昇する見込みで、主な要因はDDR5やSSDなどのパーツ価格高騰にあります。

実際、自作PC用のDDR5は年初から価格が2〜3倍に跳ね上がっており、マザーボードの販売台数が前年比で半分に落ち込むなど、すでに大きな影響が出始めています。

ノートPCも同様にDRAM・NAND高騰の影響を受ける見通しで、5〜15%の値上げが想定されています。なお、ノートPCについてはすでにDellやLenovoが2026年年初から最大20%の値上げを発表しており、今後のDRAMやNAND価格の動向次第では、この予想を上回る値上げも考えられます。

スマートフォンも大きな影響を受ける見通しです。DRAMやNANDの高騰に加え、TSMC 2nmプロセスを採用した高コストなチップセットも値上げ要因となっており、5〜20%とかなり大きな値上げ幅が予想されています。

ゲーム機なども10%値上げの可能性

PCやスマートフォンに加え、DRAM価格の高騰はゲームコンソール本体の値上げにも波及する可能性が指摘されています。製品によっては最大10%の値上げが予想されており、実際にXboxについては追加の値上げが噂されています。各社の調達戦略や方針によっては、DRAM価格高騰の影響を回避しきれない場合もあり、そうなれば値上げにつながると見られています。

ただし、コンソール機は製品寿命が長いという特徴があります。PlayStation 5の場合は最低でもあと2年、Nintendo Switch 2に至っては最低でも5年は販売が続く見込みです。そのため、今回の値上げで一時的に収益が悪化しても、将来的にDRAM価格が下落すれば、製品ライフサイクル全体でコスト増加分を吸収することも可能です。必ずしも値上げが実施されるとは限りません。

コメント・考察

DRAM・NANDの価格高騰により、自作PCやノートPC、スマートフォン、ゲーム機など消費者向けデバイスのほとんどが値上がりすることは予想されていました。ただし、その値上げ幅は最大20%とかなり大きく、本体価格が10〜20万円のレンジが標準的なノートPCやスマートフォンでは2〜4万円の負担増となります。これは決して小さくない金額です。

そのため、需要減少の影響もかなり深刻です。MicronのCrucialブランドのように、消費者向け製品を縮小してサーバー・データセンター向けへ軸足を移す企業が出てくることも懸念されます。

いずれにせよ、DRAM・NANDの価格高騰が早く落ち着くことが期待されますが、AIブームはまだまだ続く見通しです。消費者ができる唯一の対策は、スマホもPCもゲーム機も、欲しいときにすぐ買うこと。「時期が悪い」と思って待っていると、少なくとも2027年末までは状況が悪化し続ける可能性があります。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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