Nintendo Switch 2 のUSB-C映像出力は暗号化。純正ドックなしでは映像出力できず

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Nintendo Switch 2のUSB-C端子は、任天堂独自の暗号化通信により映像出力が制限されていることが明らかになりました。標準的なUSB-Cディスプレイへの直接接続や、サードパーティー製ドックでの使用ができない仕様となっており、初代Nintendo Switchと比べて利便性が大きく低下しています。この仕様変更の背景には、品質管理やライセンスビジネスなど、任天堂の戦略的な意図があると見られています。

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Nintendo Switch 2 のUSB-C映像出力は暗号化。純正ドックなしでは映像出力できず

Nintendo Switch 2に搭載されているUSB-Cは、通常であればAlt-Modeに対応したUSB-C対応ディスプレイに接続するだけで映像出力が可能です。これがUSB-Cの持つ本来の利便性ですが、Nintendo Switch 2のUSB-Cでは、純正ドック以外での映像出力ができないように暗号化などの制限が施されていることが明らかになりました。

通常のUSB-Cでは、映像出力する際にDisplayPort機能をUSB-Cに付与した「DisplayPort Alt Mode」と呼ばれる標準化された通信方式を使用します。これにより、USB-Cを備えたスマートフォンやパソコンでは、USB-Cケーブル1本でディスプレイに映像出力ができるようになっています。初代Nintendo Switchでも同様の仕様が採用されていました。

しかし、The VergeがNintendo Switch 2のUSB-C通信を解析したところ、Nintendo Switch 2は通常のUSB-Cとは全く異なる通信を行っていることが判明しました。

Nintendo Switch 2のUSB-Cでは、電力供給を管理する通信についてはUSB-Cの標準通りに行われるため、市販のACアダプターでの充電が可能です。

ただし、映像出力に関する通信に切り替わる際には、Nintendo Switch 2側が任天堂独自の「ベンダー定義メッセージ(Vendor Defined Message)」と呼ばれる暗号化された独自の暗号鍵を基に通信を開始します。この暗号鍵を解除するメッセージを返信しなければ、Nintendo Switch 2側は映像を出力しない仕様になっているとのことです。そのため、サードパーティー製のドックや、単純にDisplayPort Alt-Modeに対応するUSB-Cケーブルを接続しても、映像出力がされない仕様となっています。

ただし、サードパーティー製ドックについては、すでにNintendo Switch 2対応のものも出回っています。The Vergeがこれらのサードパーティー製ドックを検証したところ、暗号鍵に基づいて通信していることが明らかになっており、サードパーティー企業がNintendo Switch 2の通信内容を解析し、互換性を実現したと見られています。

しかし、任天堂がサードパーティー製品を防ぐことを目的に暗号鍵を組み込んでいることを考えると、今後サードパーティー製ドックが登場するたびに、ファームウェアアップデートを通じて暗号鍵を変更し、再びサードパーティー製ドックを使えないようにするなどのリスクがあるようです。

任天堂がサードパーティー製ドックをブロックする理由は不具合防止とライセンス料?

初代Nintendo SwitchではUSB-C経由での映像出力が可能であり、Nintendo Switch本体とUSB-CからHDMIへ変換するアダプターを通じて、モバイルモニターや車載ナビ、ARグラスなどで使用することができました。しかし、Nintendo Switch 2ではこのような使い方をする場合、純正ドックが必須となるなど、利便性が大きく低下しています。

任天堂がこのような仕様を採用した理由については、以下のような可能性が考えられています。

品質確保:粗悪なサードパーティー製ドックによる本体故障や冷却性能低下など、ユーザーの体験や安全性を確保したい

ライセンスビジネス:公式ライセンスプログラムでアクセサリ市場をコントロールすると共に、ライセンス料を得るための布石

品質面では、初代Nintendo Switchにおいて非公式ドックを使用した際に本体が損傷したという問題が発生したことがあります。また、Nintendo Switch 2では、携帯モードとドック接続時でGPUの動作クロックや総合的なパフォーマンス差が、初代Nintendo Switchより大きくなっています。

そのため、ドック(非純正)に接続しているのに性能が出ないというクレームや低評価を避けるために、非純正ドックを全般的に排除し、USB-C経由の映像出力をすべてブロックしている可能性などが考えられます。

また、これに加えて、将来的にはサードパーティー製品に対して任天堂が定める各種要件を満たす製品にのみライセンスを付与する方針とし、ライセンス料も得るなどのビジネスモデルを検討している可能性も十分に考えられます。

この仕様により、ユーザーは旅行先でNintendo Switch 2本体だけを持って行ってテレビに接続したり、モバイルモニターやARグラス経由でプレイすることができないなど、初代Nintendo Switchに比べて利便性が大きく低下してしまっている点は残念です。しかし、任天堂がこのあたりの仕様を将来的なアップデートで変更することは考えにくいのが現状です。

ソース

How Nintendo locked down the Switch 2’s USB-C port and broke third-party docking | The Verge

https://www.theverge.com/report/695915/switch-2-usb-c-third-party-docks-dont-work-authentication-encryption

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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