UbisoftがNintendo Switch 2向けに開発した独自のVRR(可変リフレッシュレート)アルゴリズムを、任天堂と協力してシステム全体に適用する取り組みを進めていることが明らかになりました。この技術が実装されれば、多くのNintendo Switch 2タイトルでより滑らかなゲームプレイが実現する可能性があります。
Nintendo Switch 2で備わるVRRは制約が多い機能に
Nintendo Switch 2はスペック的に最新のゲームで安定的に60fpsを維持することが困難なケースが多いため、低いフレームレートでもスムーズさが損なわれにくいVRRに携帯モード時には対応しています。しかし、このVRRの動作には40fps以上のフレームレートが必要になる一方で、現状発売されている多くのゲームは30fps前後で動作することから、VRRが正常に機能せず、画面のカクつきやティアリングが発生しやすい状況となっています。
実際に、Digital Foundryによる検証で「Hitman World of Assassination」のフレームレートが30〜40fps付近で推移する際にVRRが適切に機能せず、映像が滑らかにならない問題が確認されています。その後のパッチで30fpsにロックする対応が取られましたが、根本的な解決策とは言えない状況でした。
このように真価を発揮できていないNintendo Switch 2のVRRですが、Ubisoftが同社のゲームで採用した独自アルゴリズムにより30fps前後でもVRR動作が可能になっているほか、同社は任天堂と協力してシステム全体への適用を目指していることが明らかになりました。
Ubisoftの独自アルゴリズムで30fpsでもVRRが有効に
Ubisoftは「アサシンクリード シャドウズ」と「スター・ウォーズ アウトローズ」において、ゲームのフレームレートは30fpsを目標に開発を進めている一方で、40fps以上でないとVRRが正常に動作しない課題についても認識しているとのことです。
そのため、Ubisoftは各フレームを中間点と終了時の2回に分けて表示することで、疑似的に60fpsでの出力を実現し、VRRの恩恵を受けるという回避策を施していることを明らかにしています。この手法は「LFC(Low Framerate Compensation:低フレームレート補償)」に近い技術と見られており、Xbox Series X/SなどではOS側に標準搭載されている技術です。この仕組みにより、ゲーム自体は30fpsで動作しながらも、VRRによる滑らかな映像体験が可能になっています。
Nintendo Switch 2全体へUbisoftの回避策適用を目指して任天堂と協議中
この回避策はUbisoftがNintendo Switch 2への最適化を進める過程で構築されたものですが、同社はこの技術を任天堂と共有し、Ubisoft以外のタイトルでも利用できるようシステム全体への適用を目指して協議を進めていることを明らかにしています。
もしこの取り組みが実現すれば、サードパーティ製タイトルを含むSwitch 2の全ゲームで、低フレームレート時のVRR問題が解消される可能性があります。PS5やPCからの移植タイトルでのパフォーマンスや画質の低下が抑えられることが期待されます。
ただ、現時点ではまだ協議段階であり、実際に実装されるかは不明です。具体的な実現時期なども明らかにされていません。
一方で、任天堂としてはサードパーティ製タイトルの多くがPS5やPCからの移植となり、時間が経過するにつれてNintendo Switch 2の性能ではパフォーマンスや快適性の観点で厳しくなるタイトルも増えてくることが予想されます。このような工夫でゲームプレイ時のスムーズさを向上させる技術は必須と言え、実装される可能性は高いと考えられます。
Ubisoftが採用する手法はXbox Series X/Sなどにも実装されている仕組みですが、特にNintendo Switch 2のようにVRRの動作範囲である40fpsを下回りやすいハードではこの機能が威力を発揮します。様々なタイトルで対応されればゲーム体験の底上げが可能となるため、Ubisoftと任天堂の協議が順調に進むことが期待されます。
ただ、Nintendo Switch 2のVRRはTVモードで動作しないなど別の課題も残っています。こちらは任天堂側でしか解消できない問題ですが、この携帯モードでのVRR改善と併せて、TVモードへのVRR対応拡大なども期待したいところです。



コメント