NAND SSDなどのストレージ製品もデータセンター建設ラッシュを背景に深刻な供給不足に陥っている状況ですが、なんとNANDフラッシュを製造する大手4社は2025年後半以降にNANDフラッシュの生産量を前年比で削減を計画していることが明らかになりました。
需給状態がタイトなNANDフラッシュが減産へ?!
現在、PCパーツ市場ではデータセンターの建設ラッシュを背景にDDR5などに必要なDRAMやSSDに必要なNANDフラッシュなど重要な部品の需給状態の大幅悪化が確認されており、既にDDR5などのDRAM製品は1か月前に対して価格が2倍以上に跳ね上がるなど影響が出始めています。
そのため、消費者としてはDRAMメーカーやNANDメーカーがこの力強い需要を背景に増産に踏み切り、やがて供給が安定し価格が下がることが期待されていますが、SSDを構成するNANDフラッシュを製造する大手4社のメーカーはなんと前年比に対して生産量を削減する計画のようです。
大手4社が揃ってNANDフラッシュを前年比2~7%減産
市場調査会社のOmdiaが公開した各社の生産データによると最大手のサムスンはNANDウェーハの生産量目標を2024年の507万枚から7%減となる472万枚に下方修正したとのことです。KIOXIAも前年の480万枚から2%減となる469万枚へ生産量の調整を実施する方針のようです。
SK HynixならびにMicronも他と同様にNANDフラッシュの生産量を減らす方向で、SK HYynixは201万枚から180万枚と10%程度の減産を予定しているほか、Micronも最大のNAND生産拠点であるシンガポールのFab7での生産量を30万枚前半と通常に比べて生産を抑制している状況になっています。
なお、この減産体制はサムスンとKIOXIAは2026年まで継続することを予定しているとのことです。
減産の狙いは収益改善?
NANDフラッシュを巡っては主にコンシューマー向けデバイスの需要に左右されることから長年、各社は不安定かつ低い収益に悩まされていました。
そのため、今回のデータセンター建設ラッシュによる需要拡大で収益の最大化を狙っているようで、需要以上の生産量拡大には踏み切らず、需給状態をイコール状態にし、高値で価格を安定化させることが減産の狙いと見られています。
消費者向けで主流のTLC NANDは後回しで値上がりが不可避? サーバー向けQLCが最優先に
NANDには数種類あり、その中で消費者向けに販売されるNVMe SSDには耐久性と容量の両立が図れるTLC NANDが使われる一方で、サーバー向けでは容量重視のQLC NANDが採用される傾向にあります。そのため、NANDメーカー各社は高い単価と収益が望めるQLC NANDを優先的に生産することに注力し始めているようです。
特に、今回発生している減産は価格維持の狙いもありますが、減産量の一部はTLC NANDの生産設備をQLC NANDに切り替えるために発生しているとも考えられており、近いうちに消費者向けSSDの価格はさらに品薄と価格高騰に見舞われる可能性も否定できない状況のようです。
DRAMやNANDの供給状態に関する話はここ最近何度も出ており、特にDRAMに関してはDDR5の価格が数倍に跳ね上がるなど影響が大きく出ています。ただ、個人的により深刻化しそうなのがNANDフラッシュ系製品と言えそうです。
特にNANDを巡っては記事内に書いてある通り、収益性が今まであまり高くなかったことから工場新設などには消極的です。また、サムスンやMicronやSK HynixはNANDより高収益なHBM生産に傾倒しているため需給状態は今後もタイトであるほか、TLCからQLCへの生産が優先されればコンシューマー向けSSDの供給状態はさらに悪化し、DDR5で見られたような価格上昇に晒される可能性があります。
そのため、個人的なアドバイスとしてはSSDなどの購入を考えている人は早めにしておいた方がいいと思います。



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