Intel Battlemage GPUで御蔵入りになった超高性能GPUの仕様が判明。512MBのキャッシュ搭載

IntelのArc Battlemage GPUは、現状ミドルレンジモデルのみが発売される極めて限られたラインアップ構成となっています。しかし、Intelは当初、より野心的な計画を持っていたことが明らかになりました。

Arc B580に搭載される20基のXe2コアの2倍にあたる40基のXe2コアを搭載し、さらに超大容量キャッシュを備えたハイエンドモデルが開発されていたのです。

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IntelがArc Battlemageの上位モデルを計画していた模様。Intelの経営悪化で御蔵入りに

SNS上でIntelのArc関連プロトタイプ情報を発信しているユーザー「@GOKForFree」氏が投稿していた未知のグラフィックスカードPCBについて、その正体が判明しました。

このPCBは、現在販売されているArc B580やB570に搭載されるBMG-G21よりも大型のGPUダイ用に設計されています。GDDR6メモリスロットが6つ配置されていることから、192-bitメモリバスを採用する予定だったことがわかります。また、8ピン電源コネクタを2つ搭載するなど、Arc B580シリーズよりも高い電力設計となっていました。

情報筋のBionic_Squash氏によれば、このPCBは上位モデル向けのBMG-G10ダイ用に設計されたもので、BMG-G10には2つの構成が計画されていたとのことです。

スクロールできます
仕様BMG-G10 X3BMG-G10 X4BMG-G21BMG-G31
製品クラスハイエンドフラッグシップミドルレンジハイエンド
GPUコア数28コア40コア20コア32コア
バス幅192-bit256-bit192-bit256-bit
キャッシュ不明512MB
(Adamantine)
不明不明
搭載製品開発中止開発中止Arc B580/B580Arc B770

Arc B580が最大20 Xe2コアであることを考えると、X3は1.4倍、X4は2倍のコア数を備える計画だったことになります。

3Dキャッシュ技術「Adamantine」も採用予定だった

IntelはAMDの3D V-Cacheに似た3Dキャッシュ技術を開発しており、「Adamantine」としてClearwater Forestなど一部製品に搭載しています。このAdamantineが、Arc Battlemageの最上位モデルとして開発されていたBMG-G10 X4に搭載される予定でした。

この技術は、最大512MBのキャッシュを持つベースタイルの上にGPUダイを積層する構造です。大容量の3Dキャッシュを搭載することで、メモリアクセスの高速化とレイテンシの低減が期待されており、ゲーミング性能の大幅な向上が見込まれていました。

なお、この3Dキャッシュ技術は、同じくキャンセルされたArrow Lake世代のHalo SoCでも採用予定でしたが、こちらも実現には至りませんでした。

競争力がありそうでも開発中止された理由はIntelの経営難

これらの上位Battlemageモデルが製品化されなかった背景には、Intelの厳しい財務状況と経営陣の交代があります。2024年から2025年にかけて、Intelは大規模なリストラを実施し、多くのプロジェクトが見直されました。その結果、Arc Battlemageのラインアップは大幅に削減され、野心的だったBMG-G10 X4やX3も開発中止になったと見られています。

ただし、Intelはハイエンドグラフィックスカードの開発姿勢を維持しているようです。経営状況が再び安定すれば、Arc Celestialなど次世代GPUにてAdamantineを活用したハイエンドGPUが登場する可能性もあります。今後の展開に期待したいところです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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