IntelファウンドリーでAMD製チップ製造を協議中。宿敵同士がTSMC脱却を目指す?

Intelは同社の主力事業の1つとしてファウンドリー事業を立ち上げていますが、この顧客にAMDが名乗りを上げ、初期段階ではあるもののIntelで製造されるAMDチップに向けた協議が進められていることが明らかになりました。

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IntelがAMD製チップを作る可能性。Intelファウンドリーに追い風

Intelは2021年にIDM 2.0戦略を基にファウンドリー事業を立ち上げましたが、顧客獲得に苦戦し、長らく収益面でも苦しい状況が続いていました。しかし、ここ数週間でNVIDIAとの協業やソフトバンク、アメリカ政府からの投資や支援表明を取り付けたほか、最近ではAppleからの支援も協議されるなど、状況は好転し始めています。そんなIntelですが、長年CPUなどでライバル関係にあったAMDのチップ製造を請け負う可能性が出てきているようです。

IntelとAMDの交渉は初期段階

SEMAFORによると、AMDはIntelファウンドリーで同社のチップ製造の請負に向けて初期段階の協議を進めていることが、業界関係者からの情報で明らかになったとのことです。ただ、現時点では初期段階とのことで、実際に製造されるのかは未知数です。仮に交渉がまとまったとしても、どれだけの製造量がIntelに割り当てられるかなどは不明とのことです。

Intel製造はメリットもあるが、課題も多く

AMDは主力製品であるCPUのRyzenやEPYC、GPUのRadeonやInstinct、そしてコンソールゲーム機向けAPUなど多くの製品を抱えていますが、そのほとんどはTSMCで製造が行われています。しかし、TSMCを巡ってはアメリカ政府の関税への懸念があるほか、1社依存による価格交渉力やコスト競争力の低下が見られます。加えて、台湾という地政学的リスクも存在しています。そのため、サプライチェーンの多角化という観点でIntelファウンドリーでAMD製品を作れるとなると、トランプ政権下での関税影響を最小限に留めることができるほか、地政学的リスクにも対応することが可能となるなどのメリットが見出せます。

ただ、AMDがこれまでにTSMCを採用し続けていた背景としては、最新プロセスの技術面や製造面での安定性、信頼性の高さがあります。TSMCは既に安定的な歩留まりで2nmを実用化しています。一方でIntelは、TSMC 2nm相当の18Aプロセスの量産化に向けて技術開発を行ってはいるものの、現時点では自社製品の製造に苦慮しています。また、当初予定されていた18Aでのファウンドリー事業を撤回し、14Aで事業展開するなど方針転換を行っています。

そのため、仮にAMDがIntelファウンドリーで製造に至ったとしても、その時点で使用できる最先端プロセスを使わず、1~2世代古いプロセスを使う可能性があります。また、AMDの非主力製品を中心に様子見的な採用が行われる可能性がありそうです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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