PC向けGPU市場は2025年を通じてメモリ不足と価格高騰の影響を受けてきましたが、市場調査会社JPRの最新レポートによると、2025年第四四半期のGPU出荷台数は前年比3.3%減に落ち込んだほか、NVIDIAとIntelがシェアを落とす一方で、AMDがシェアを拡大させたことが明らかになっています。
PC向けGPU出荷台数が減少。メモリ不足で需給バランスが崩壊
2025年下半期より、DRAMをはじめとするメモリ製品の需要が急拡大しており、AIデータセンター向けのHBMや汎用DRAMの供給が逼迫しています。HBMについてはSK HynixやMicronがNVIDIAなどAIチップ向けの供給を最優先としており、汎用DRAMであるDDR5などのメモリもクラウドサービスプロバイダー(CSP)によるデータセンター建造に優先的に充てられています。
その結果、コンシューマー向けグラフィックカードに搭載されるGDDR6/7やノートPC向けのLPDDR5などの供給不足が顕著となり、価格も大きく跳ね上がっています。この影響により、消費者のグラフィックカード買い控えが鮮明になっています。
GPUの出荷台数は前年比で3.3%減少。NVIDIAなどが出荷台数抑制?

市場調査会社のJohn Peddie Research (JPR)によると、グラフィックカードの出荷台数は過去10年間で平均4.7%の伸びが記録されていたとのことです。しかし、2025年第四四半期のグラフィックカード出荷量は前期比で1.3%、前年同期比では3.3%減少に転じており、各メーカーはメモリ不足や価格高騰を背景に出荷台数の抑制に踏み切っていることが明らかになっています。

特に、NVIDIAにおいては16GBのGDDR7を搭載した一部製品の生産を抑えていることが過去に何度か噂されていましたが、出荷台数を見る限りその噂は正しかった可能性がありそうです。
メーカー別シェアではAMDが2.6%拡大と躍進。NVIDIAは1.4%減少

内蔵GPUまで含む、グラフィックカードのメーカー別シェアではNVIDIAが前四半期比1.4%、Intelが同1.2%のシェア低下を記録しています。一方でAMDは前四半期比2.6%のシェア拡大を達成し、3社のなかで唯一シェアを伸ばした形となっています。
この主な原因としては、NVIDIAのグラフィックカードの供給削減や、Radeon RX 9000シリーズの販売が好調というのも一因ですが、最も大きな理由はAMD製APUがノートPCを中心に採用数が増えていることと見られています。
2026年のPC出荷台数は前年比で10%程度減少へ
メモリ価格高騰などを背景にデスクトップPCやノートPCなどPC全体の需要は2026年には大きく下がることが見込まれており、JPRは前年比で約10%の減少を見込んでいるとのことです。そのため、PCの付属品でもあるグラフィックカードについては2026年には新製品が出ないことや、価格がさらに高騰する懸念があることから、さらに大きな出荷台数の減少が見込まれます。
これにより、NVIDIAやAMDなどはコンシューマー向けの新製品投入に消極的になるとも考えられます。AIBなどは経営悪化によりグラフィックカード事業からの撤退すら想定されるため、メモリ価格がいつごろ正常化するかが当面の焦点となりそうです。
今回のJPRによる集計は、2025年第四四半期の出荷台数ということでメモリ価格高騰が本格化し始めた辺りの結果になっています。そのため、落ち込みとしては前年比3%減少と価格高騰の割には大きく落ち込んでいませんでした。
ただ、グラフィックカードの在庫がほとんどなく、値上げにより販売台数も落ちていると考えられる2026年第一四半期以降は出荷台数が大幅に落ち込むことが必至といえます。出荷が大幅に落ち込めば上述の通りAIBは厳しい状況に陥るほか、NVIDIAやAMDなどが投入予定の新製品の戦略にも影響するため、消費者としてはメモリ価格をはじめとする半導体需給の正常化が一日でも早く望まれる状態です。



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