DRAM価格の高騰は深刻化しており、近いうちにノートPCやスマートフォンなどの値上げが予定されているといわれています。そんな中、PC大手のDellが法人向けPCを中心に最大30%もの大幅値上げを計画していることが明らかになりました。
Dellが法人向け製品を12月17日より大幅値上げへ
DRAMやNANDなどの価格は上昇が続いており、年初と比較してDDR5などパーツ単品では2~4倍という異常な高騰を見せています。これに伴い、PCやスマートフォンでは段階的な値上げやメモリ容量の削減が行われることが懸念されています。
そんな状況の中、PC大手のDellが同社の法人向け製品であるDell ProおよびDell MaxシリーズのノートPCやデスクトップPCについて、最大30%の値上げを2025年12月17日以降の注文分から反映することを計画していると、Business Insiderが報じています。
メモリーやストレージ容量に応じて2万円〜12万円の値上げを計画
Dellの内部資料によると、値上げ幅はDDR5などのメモリやSSDなどのストレージ容量に応じて異なるとのことです。32GBのメモリを搭載する製品は130~230ドル(日本円で約2~3.5万円)、最上位の128GBメモリ搭載機種では520~765ドル(日本円で約8~12万円)の値上げに達するようです。
また、今回の値上げはSSD容量にも反映されるようで、1TB SSDを搭載する場合は55~135ドル(約8,400円~2万円)の値上げが実施されるなど、多くの製品で大幅な価格改定が行われることになります。
モニターやAI向けノートPCも値上げ対象
今回の値上げはDRAM価格高騰が主な原因ですが、これにより製品ラインアップ全体のコスト構造見直しを迫られているとみられます。そのため、DRAM価格の影響を受けにくいはずのモニターも値上げ対象に含まれています。
現在1,349.99ドルで販売されているDell Pro 55 Plus 4Kモニターは150ドル(約2.3万円)の値上げが予定されています。なお、他のモニターについては値上げ幅が不明ですが、一般的な27インチの4Kモニターなども1万円近い値上げが実施される可能性があります。
このほか、NVIDIA Blackwell GPUを搭載するAI向けのノートPC型ワークステーションも大幅値上げの対象となっています。RTX PRO 500(6GB VRAM)搭載機種で66ドル(約1万円)、24GBのVRAMを搭載するモデルでは530ドル(約8万円)の値上げが予定されています。
コンシューマ向け製品も値上げ予定
Dellは11月25日付で販売スタッフ向けに送付した社内メールにおいて、「グローバルなメモリ・ストレージ供給が急速に逼迫している」と警告し、値上げ前に主要顧客との契約締結を急ぐよう指示しています。また「将来の納品に向けて今日注文しても現在の価格は保証されない」とも記載されており、法人向けPCの調達を検討している企業は早めの発注が求められています。
この法人向けPCの値上げ後には、コンシューマ向け製品にも波及することが確実視されています。一般的なノートPCも同じスペックであっても数万円の値上げが予想されます。
DDR5などDRAMやSSDなどのNANDフラッシュ価格高騰によるノートPCなどの値上げについては、ここ数日、調査会社などが大幅な価格上昇を予想していました。しかし、その時期は想定よりかなり早いようです。
また、値上げ幅についてもDellは当初10~20%で検討しているといわれていましたが、結果的に30%に迫る値上げとなりました。これはDRAM価格高騰が予想以上に進んでいることを示唆しています。
なお、この値上げは必ず消費者向け製品にも反映されます。そのため、Windows 10からWindows 11への乗り換えや新規購入を検討している場合は、年内の購入を強くお勧めします。年内を逃した場合、2027年央以降まで少なくとも1年間は買い時ではない状況が続く見込みです。購入を迷っている方は、ぜひ年内に決断されることをお勧めします。



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