DDR5を中心とするDRAM製品が深刻な供給不足と値上げに直面しています。こうした状況を受け、DellやLenovoなどのPCメーカーが、ノートPCをはじめとする消費者向け製品について、2025年末から2026年初頭にかけて大幅な値上げを検討していることが明らかになりました。
DellやLenovoがノートPCなどを最大20%値上げを検討
DRAMやNANDフラッシュは、近年のAIブームによるデータセンター建設ラッシュの影響で供給量が大幅に不足しています。すでにDDR5などのDRAM製品は1カ月前と比べて価格が2倍以上に跳ね上がるなど、影響が出始めています。
AI向けサーバーでは大容量のDDR5が必須となるほか、GPUと組み合わせて使用される高帯域メモリ(HBM)の生産にもDRAMの製造キャパシティが必要です。そのため、サムスン、SK Hynix、Micronの大手3社はAI・サーバー向け製品の生産を優先しており、コンシューマー向け製品の供給が後回しにされる状況が続いています。
こうしたDDR5やDRAMの状況を受けて、DellやLenovoなどは同社が製造するノートPCやサーバー向け製品を中心に、早ければ2025年内に大幅な値上げを計画しています。その値上げ幅は最大20%に達することが明らかになりました。
Dellは12月中旬、Leonovoは2026年1月から値上げ。最大幅は20%
TrendForceの報告によると、DDR5を中心とするDRAM製品不足による価格高騰の影響は、当初予想されていた2026年より早く、より広い範囲で影響を及ぼし始めているとのことです。
Dellは2025年12月中旬にも、同社が製造販売するノートPCやサーバー向け製品など、コンシューマーからエンタープライズ向けを問わず15~20%の価格引き上げを計画しているとのことです。同社のCOO、Jeff Clarke氏は「メモリーチップのコストがこれほど急速に上昇したことはない」と発言しており、今回のDRAM高騰が異常事態であることを示唆しています。
また、Lenovoの幹部Marco Andresen氏はThe Registerの取材に対し、「業界全体で前例のないコスト上昇が発生しており、特にメモリーとSSDの値上がりが顕著だ。このコスト上昇は通常よりもはるかに大きく、どのメーカーも吸収できるレベルではない」と警告しています。同社は2026年1月1日をもって新価格を適用する方針を顧客に通知しているとのことです。
2026年以降も値上がりは必須。Windows 10からの乗り換えは早めに
今回の値上げに伴い、TrendForceは2026年のノートPC出荷予測を従来の前年比1.7%増から2.6%減へと大幅に下方修正しました。今後もノートPCなど消費者向け製品の値上がりが続くと予想されています。
DDR5などのDRAMやSSDなどに使われるNANDは、ノートPCのみならず、スマートフォン、PS5やNintendo Switch 2などのゲーム機など幅広い製品に採用されています。その一方で、AI用途では供給力を上回る需要が発生している状況です。
実際に、MicrosoftやGoogle、Amazonなど主要なクラウドサービスプロバイダーは2028年まで契約を確保しようとしており、この供給不足は2028年まで続く見通しすらあります。
そのため、近いうちにノートPCなどPCの買い替えを予定している方は急いだほうが良さそうです。特にWindows 10にESU(拡張セキュリティ更新プログラム)を適用し、2026年に買い替えようと考えていた方は、早めに買い替えたほうが最終的には出費を抑えられると考えられます。
DellやLenovoなどのOEMメーカーは、旧価格で結んだDDR5やSSDの契約や在庫がある限り影響を避けられていましたが、いよいよ時間切れとなり、まもなく値上げが実施される見込みです。
現時点での値上げ幅は15~20%とのことですが、今後もDDR5などの値上げは続くと見られています。また、SSDについても現在より需給状況が逼迫すると言われており、2026年から2027年にかけてノートPCなどがさらなる値上げに直面することは確実と言えそうです。
そのため、特にWindows 10 ESUを使っていて2026年10月頃に買い替えようと思っていた方は、このタイミングを逃すと後悔する可能性が高いです。できれば年内にはPCを買い替えることをおすすめします。



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