次世代メモリ規格「DDR6」の開発が進む中、従来のDIMMに代わる新規格「CAMM2」が主流になる可能性が浮上しています。DDR6は転送速度が最大17,600 MT/sに達し、AI需要の高まりを背景に2026年以降のサーバー・データセンター向けCPUから順次対応が始まる見込みです。コンシューマー市場への本格普及は2027年以降になると予想されています。
DDR6は2027年以降に普及。メモリ規格はDIMMからCAMM2へ移行?
現在のPC市場ではDDR5メモリが主流ですが、2020年の規格登場から5年が経過し、次世代規格「DDR6」の開発が業界標準化団体のJEDEC主導で進められています。
AI向けデータセンターからの強い需要を背景に、Samsung、Micron、SK HynixといったDRAMメーカーに加え、Intel、AMD、NVIDIAなども協力。DDR6の早期市場投入を目指しています。
そうした中、台湾の工商時報は、DDR6世代では従来のDIMM(Dual In-line Memory Module)に代わり、新規格である「CAMM2(Compression Attached Memory Module 2)」が主流になる可能性があると報じました。
DDR6は、DDR5から大幅な転送速度の向上が図られています。ベース速度はDDR5の4800 MT/sから83%高速な8800 MT/sからスタートし、最大速度は17,600 MT/sに達する見込みです。これは特にCPU内蔵GPUのパフォーマンス向上に大きく寄与すると期待されています。
また、チャンネル設計も刷新され、DDR5の2ch×32-bitアーキテクチャから4ch×24-bitアーキテクチャが採用される見込みです。これにより、並列処理効率やデータ転送効率が大幅に向上すると見られています。


しかし、こうした大幅な性能向上は、従来のDIMMスロットにとって課題も生じさせます。信号線が長くなることで信号の反射や干渉といった問題が発生しやすく、高速化の障壁となるためです。
そのため、この課題に対してDellが開発し、JEDECによって標準化された「CAMM2」と呼ばれる新たなメモリモジュール規格が標準的に採用される可能性が非常に高いとのことです。CAMM2は名前の通り、CPUのLGAのような形でメモリを圧着させて通信を行う仕組みになっており、配線長の短縮や薄型ノートPCへの搭載などが可能になります。
一方で、現状のCAMM2はマザーボードに対して水平に装着するため、サーバー・データセンターやデスクトップ向けではスペース効率が悪くなるというデメリットも存在します。今後、この課題にどのように対処していくのかが、普及に向けた焦点の一つとなりそうです。
2026年以降、サーバー向けから順次対応開始
DDR6やCAMM2については、IntelとAMDが2026年以降に登場する次世代CPUからサポートを開始するとのことです。
サーバー・データセンター向けでは、IntelはDiamond Rapidsから、AMDはZen 6搭載のEPYCから対応すると見られています。
コンシューマー向けでは、2026年後半に発売予定でソケット刷新が予定されているIntel Nova Lakeで対応する可能性がある一方、AMDに関しては2026年投入のデスクトップ向けZen 6がソケットAM5をそのまま継続するため、DDR6対応は2027年以降に投入されると言われているZen 7と同時に投入されるソケットAM6になると考えられます。
そのため、Intel、AMD両社でDDR6に対応し、コンシューマー向けにも普及し始めるのは2027年に入ってからになると考えられます。
DDR6將臨 三大廠加速布局 | 工商時報


コメント