メモリ価格は2025年秋以降、顕著な高騰が続いています。この傾向は2026年も継続する見通しです。背景には、クラウドサービスプロバイダー(CSP)によるAIサーバー向け需要の急拡大があり、供給の増加ペースを大きく上回っている状況です。
2026年もDRAMやNAND共に需要が供給を上回る見込み
メモリ価格の高騰は様々な製品に影響を及ぼしています。PC用DDR5は2025年上半期と比べて約3倍に値上がりしたほか、グラフィックカードやノートPC、スマートフォンなど多くの電子機器の価格上昇にもつながっています。
この価格高騰の主因であるCSPによるデータセンター建設ラッシュは2026年も続く見通しです。DRAMの供給量は2025年比で約20%増加する見込みですが、需要は最大25%増と予測されており、依然として需要が供給を上回る状況が続きます。
DDR4の生産縮小でレガシー製品の供給が逼迫
レガシーDRAM製品の供給不足が深刻化しています。主要サプライヤーがDDR4プロセスからの撤退を加速しており、ウェーハ生産能力を新世代かつ高マージン製品へ再配分しています。業界関係者によると、サムスン電子とSK HynixのDDR4ウェーハ生産比率は2026年後半には1桁台前半まで低下する見込みで、供給量が大幅に減少するとのことです。
この生産縮小によりDDR4価格は急反発しています。一部セグメントでDDR5への移行が進んでいるものの、2025年第4四半期にかけてDDR4とDDR5のスポット価格差は拡大しており、旧世代規格への需要が依然として強いことを示しています。市場関係者の推計では、2026年もDDR4供給は需要を約10%下回る状態が続き、少なくとも下半期まで価格は高止まりすると見られています。
HBM生産拡大がDDR5供給に影響。2026年中は値下がりせず
CSPなどが導入しているAI向けデータセンターで使用されるGPUの多くはHBM(High Bandwidth Memory)を採用しており、HBMに対する需要が高止まりしています。
HBMはDDR5など汎用DRAMと同じウェーハを使用しますが、複数のダイを積層する構造のため、より多くのウェーハを必要とします。さらに歩留まりも汎用DRAMより低いことから、HBMの生産が増えれば必然的にDDR5など汎用DRAM向けの供給量が減少する傾向にあります。
現在、HBMも供給に対して需要が大きく上回っている状況です。SK Hynix、Micron、サムスンのHBM3Eは生産能力のほぼすべてが予約済みとなっています。また、SK HynixのHBM4がすでに顧客検証を通過していることから、競合他社もHBM4への移行を急ぐと見られ、標準的なDDR5の供給がさらに逼迫する可能性があります。
同時に、サーバー向けに大容量化されたDDR5 RDIMMが投入されており、コンシューマー向けDDR5の供給を圧迫することも予想されています。
なお、DDR5などのDRAM製品の契約価格は2025年第4四半期に50%以上の上昇が記録されています。この上昇傾向は2026年上半期も継続する見込みで、供給ギャップの規模を考慮すると、年後半に入っても価格下落の余地は限定的と考えられます。
DDR5などのメモリ価格が2026年中に下がる可能性は低いことが、昨年末の時点でも指摘されていました。実際にサーバー向け需要が堅調であること、HBMなどDDR5の供給に悪影響を与える製品の需要も高止まりしていることから、2026年中の値下がりにはあまり期待しないほうが良さそうです。
こうした状況が続けば、自作PCやBTO、ノートPCなどの需要は大きく落ち込むことが予想されます。また、需要低下や価格高騰を背景に、NVIDIA GeForce RTX 6000やAMDのRDNA 5などPC向けパーツ、さらにはPlayStation 6など次世代製品の発売スケジュールにも悪影響が及ぶことは避けられないでしょう。そのため、今後はどの程度遅れるのか、また各製品がスペックダウンされるのかなど、今後の動向に注目が集まります。



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