Intelが2023年に発売したRaptor Lake Refreshのアーキテクチャーをベースに、E-Coreを搭載せずP-Coreのみで構成する「Bartlett Lake」を開発中です。このたび、リーカーのJaykihn氏により、Bartlett Lake-Sの最上位モデルにおけるコア数、動作クロック、TDPを含むスペック情報が明らかになりました。
LGA1700対応CPUに新モデル。Bartlett Lake-Sはかなり高性能に
IntelのBartlett Lake-Sは、デスクトップ向けLGA1700ソケットに対応した新しいCPUです。Intelのロードマップによると、同CPUはエッジ向け製品として投入される計画となっています。
また、以前公開されたリーク情報では、P-Coreを12コア搭載する新しいCPUダイが開発されていることが示されていました。2025年現在でも十分に通用する性能を持つRaptor Coveを12コア搭載するため、特にゲーミング性能においてArrow Lake-Sを上回ることが期待されています。
ただし、Bartlett Lake-Sに関する情報が初めてリークされた2024年から既に1年以上が経過しているにもかかわらず、製品投入の兆しが見えないことから、開発中止を懸念する声もありました。しかし、Intel関連のリーカーであるJaykihn氏によると、現在も開発は継続されており、現時点で判明しているスペックが公開されました。
12コアのBartlett Lake-Sは最大6.0 GHz動作。全コアブーストは5.5 GHzと高め
No unlocked.
— Jaykihn (@jaykihn0) November 5, 2025
Only 125W SKU.
6.0 ST
5.5 all core MT
3.4 base
現時点でBartlett Lake-Sの最上位モデルには、Raptor Coveアーキテクチャーで構成されるP-Coreを12コア搭載する新しいダイが採用されることが判明しています。Jaykihn氏のツイートによると、同CPUはTDP 125Wに設定され、オーバークロック非対応モデルになるとのことです。
一方で、動作クロックは高めに設定されています。ベースクロックは3.4GHz、1コアのみの最大ブーストクロックは6.0GHz、全コア利用時のブーストクロックは最大5.5GHzになるとされています。
| スペック | Bartlett Lake-S (12P) | Core i9-14900K (8P+16E) |
|---|---|---|
| コア構成 | 12P+0E (12コア) | 8P+16E (24コア) |
| ベースクロック | 3.4 GHz | 3.2 GHz (P-Core) |
| シングルコア ブースト | 6.0 GHz | 6.0 GHz |
| マルチコア ブースト | 5.5 GHz | 5.7 GHz |
この動作クロックは、現行の最上位モデルにあたるCore i9-14900Kに非常に近いスペックとなっています。ただし、Bartlett LakeではP-CoreをCore i9-14900Kより4コア多く搭載することから、総合的な性能は優れていると考えられます。
ゲーミング性能はCore i9-14900KやCore Ultra 9 285K超え?
Intel製CPUのゲーミング性能については、Raptor Lake RefreshであるCore i9-14900Kが市場から高い評価を得ている一方で、2024年に発売されたCore Ultra 9 285Kはゲーミング性能がCore i9-14900Kを下回る結果となりました。さらに、競合のAMDがRyzen 9000X3Dシリーズでゲーミング性能を大幅に向上させたことで、Intelの競争力は低下しています。
一方、Bartlett Lake-Sでは、Core i9-14900Kで定評のあるRaptor CoveアーキテクチャーのP-Coreを12コア搭載することから、ゲーミング性能はCore i9-14900KやCore Ultra 9 285Kを上回る可能性があります。
また、ゲーミング性能のみならず、動画エンコードやレンダリングなどのワークロードにおいても、12コアのP-Coreは非常に優れた性能が期待されます。
Intel 7プロセスの供給切迫が懸念。コンシューマー向けには出ない可能性も
高い性能が期待されるBartlett Lake-Sですが、懸念材料となるのが採用するプロセスです。Bartlett Lake-SはRaptor Lake Refreshと同じくIntel 7プロセスで製造される見通しとなっています。
ただし、このIntel 7プロセスは2022年頃に登場した比較的古い世代のプロセスであるため、Intelは製造キャパシティーの拡大を想定していません。一方で、現時点で以下の製品に採用されるなど、Intel製品において広く使用されています。
- 第13世代 Raptor Lake CPU
- 第14世代 Raptor Lake Refresh CPU
- Emerald RapidsのCPUダイ
- Granite RapidsのI/Oダイ
特に収益性の高いデータセンター向け製品にIntel 7が使用されていることから、Intelはコンシューマー向けのRaptor Lake系CPU製造の優先順位を下げている状況です。そのため、同じくIntel 7プロセスを採用するBartlett Lake-Sについても、この供給逼迫の影響が発売時期やコンシューマー向けへの展開に影響する可能性が懸念されています。
特に、Bartlett Lake-Sはゲーミング性能に期待が集まっているため、コンシューマー向けへの展開も望まれています。しかし、Intel 7プロセスの製造キャパシティーを考慮すると、当初予定されているNEX(ネットワーク機器)向けにのみ発売され、コンシューマー向けには展開されない可能性も十分に考えられます。
このあたりの詳細は、IntelからBartlett Lake-Sの正式発表があった際に明らかになると考えられます。実際にコンシューマー向けに発売されるかどうかは、今後注目を集めることになりそうです。



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