DDR5の価格水準は2025年初め頃と比較して3〜5倍に高騰しており、これが原因で自作PC向けマザーボードの販売台数は大きく減少しています。ASUSはこの市場環境に対抗するため、2026年上半期はDDR4対応マザーボードを中心に生産を強化する方針を検討しているようです。
DDR5価格高騰により売れるDDR4対応プラットフォーム
2025年秋以降に深刻化しているDRAM価格高騰により、DDR5メモリの価格は16GB×2枚セットが約10万円にまで上昇しています。この影響で自作PCやBTOパソコンなどの需要は大きく低下しており、2025年11月のマザーボード販売台数は前年比で半減するなど、すでに深刻な影響が出ています。
こうした背景から、マザーボード製造・販売大手のASUSは、2026年第1四半期において2025年まで生産縮小傾向にあったDDR4対応マザーボードの供給を大幅に強化する方針であるようです。
旧世代のAMD B550やA520やIntel B760M/H610M-Gを増産へ

博板堂に掲載された情報によると、ASUSは2026年第1四半期のマザーボード生産計画において、DDR4対応製品の供給を大幅に強化する予定とのことです。
AMDプラットフォームでは、DDR4に対応するソケットAM4向けのB550およびA520シリーズマザーボードを主軸に、供給規模を大幅に拡大するとのことです。
Intelプラットフォームでは、DDR4とDDR5の両方に対応するLGA1700向けマザーボードがありますが、特に量販店向けモデルであるB760MやH610M-GのDDR4対応版の供給量を重点的に増やす方針とのことです。

なお、AMDのB550とA520は、日本を含む世界各国で最近販売が好調です。2025年12月30日時点の日本Amazonにおけるマザーボード売れ筋ランキングでは、1位がB550、2位がA520マザーボードとなっています。また、IntelのB760Mについても5位にランクインしており、ASUSが増産予定のマザーボードは旧世代ながら異例の売れ行きを見せています。
Windows 11への乗り換え需要などを取り込む?
DDR5の価格は2026年以降も高値で推移すると予想されています。一方で、2026年10月にはWindows 10のESU(拡張セキュリティ更新プログラム)の期限が終了する見込みです。
これにより、Windows 10からWindows 11への移行を迫られるユーザーにとって、手持ちのDDR4メモリをそのまま流用できるプラットフォームは貴重な選択肢となります。
また、コストを重視するならAMD Ryzen 5000シリーズとB550の組み合わせ、性能を優先するならIntel第14世代Core(Raptor Lake Refresh)とB760の組み合わせなど、旧世代ながらも選択肢は豊富です。
そのため、DDR5価格が高値で推移し続ける限り、DDR4対応マザーボードの需要は高止まりすると考えられます。ASUSのほかにMSIやGIGABYTEもこの動きに追従する可能性があり、旧世代ながらもこれらのマザーボードのラインアップが充実していく展開も予想されます。
DDR5価格の高騰によりDDR5対応マザーボードの販売が大きく落ち込んでいる一方で、製造コストが安いDDR4対応マザーボードの販売は好調です。そのため、販売減の影響を軽減するためにASUSがDDR4対応マザーボードに力を入れることは合理的と言えます。
DDR5価格が高止まりしている間はDDR4対応マザーボードが売れ続けると予想されるため、2026年になってもソケットAM4対応のB550やA520といった旧世代マザーボードの新モデルが投入されるという事態も起こり得るかもしれません。



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