ASUSは同社のゲーミングブランドであるROGの名を冠したROG Phoneや、コストパフォーマンスに焦点を当てたZenfoneなどを展開してきました。しかし、収益性低下やメモリ価格高騰を背景に撤退が噂されていました。そんなASUSですが、施崇棠(ジョニー・シー)董事長が今後は新しいスマートフォンを発売しない方針を正式に表明する一方で、AI向け製品を積極的に投入することが明らかになりました。
ASUSはスマートフォン開発から事実上オン撤退へ
ASUSはROG PhoneやZenfoneなど、ゲーミングに特化したスマートフォンを打ち出すことで、競合に比べて規模は小さいながらも根強いファンを獲得していました。しかし、直近のメモリやチップセットの価格高騰を受けて、同社はスマートフォン事業からの撤退が噂されていました。
2026年1月16日に台北で開催されたイベントにて、同社代表である施董事長はメディアからの質問に対して「ASUSは今後、スマートフォンの新機種を増やさない」と明言し、スマートフォンの新規開発から撤退する方針を明確にしました。
スマートフォン撤退の背景はコスト高騰と競争激化
ASUSがスマートフォン事業から撤退する背景には、市場環境の厳しさがあると見られています。スマートフォン市場はすでにレッドオーシャン化している状態で、Zenfoneシリーズはカメラ性能やエコシステムの観点でサムスンのGalaxyシリーズやGoogle Pixelシリーズとの競合が困難な状況でした。
また、同社のゲーミングブランドであるROGの名を冠したROG Phoneも、コアなゲーマー層からは支持を得ていたものの、高性能なチップセットやメモリ、独自機能の開発を必要とすることから開発コストを回収することが困難となっていました。特にSnapdragon 8 Eliteなどのチップセットに加え、メモリ価格が高騰する中では収益性を確保することが難しく、これらの要因により撤退を決断したと見られています。
浮いたリソースはエンタープライズ向けPCやスマートグラスなどPysical AIに
施董事長は、スマートフォン開発に投じていたリソースを、より成長が見込めるエンタープライズ向けPCや「Physical AI」などに振り分ける方針を明らかにしています。エンタープライズ向けPCについては、NVIDIAの高性能GPUを搭載したサーバー向け製品のDGXやHGXなどに焦点を当てるようです。
また、Physical AIとしては、具体的にはスマートフォン部門が培ったQualcommプラットフォームの開発経験をAIスマートグラスやAI搭載ロボットなどに応用することを検討しているとのことです。特にスマートグラスについては今後成長が見込めるコンシューマー向け製品でもあり、ASUSとの親和性も高いと考えられます。この方針転換が成長につながるのか、今後の展開が注視されます。
ASUSのROG PhoneやZenfoneなどスマートフォン事業の撤退については噂されていたものの、今回の施董事長の発言により撤退は確実なものとなりました。実際に、スマートフォン事業については度々撤退が噂されるなど、元々収益性が高い事業分野ではなかったと言えます。撤退したとしてもASUS全体に及ぼす売上やブランドへの影響は限定的と見られます。
ただ、今回ASUSがスマートフォンから撤退することは、中堅メーカーがスマートフォン事業で生き残っていくことの困難さを示唆する動きとも言えそうです。今後、他のメーカーによる事業撤退が相次ぐ可能性もあり、業界全体の動向に注目です。


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