AMDがAPU向けに開発中の内蔵GPUアーキテクチャー「RDNA 4m」について、先日発見されたGFX1170に加え、GFX1171およびGFX1172という2つの新しいGPU IDがLinuxコンパイラに追加されていることが確認されました。Zen 6世代のAPUでは、用途やセグメントに応じた複数のモデルが展開される見通しです。
3つのGPU IDが出揃い、RDNA 4mの製品展開が具体化
AMDのAPU向け内蔵GPU「RDNA 4m」については、2026年2月にLinuxのコードベースからGFX1170というGPU IDが発見され、RDNA 3.5ベースにFSR 4対応のためのFP8演算機能を追加したアーキテクチャーであることが判明していました。
今回、同じくLinux向けLLVMコンパイラへの新たなパッチにより、GFX1171とGFX1172という2つのGPU IDが追加されていることが確認されました。これにより、RDNA 4mは少なくとも3つの内蔵GPUモデルで展開されることが明らかになっています。
命令セットは3モデルとも共通。用途別に構成を変える可能性

Phoronixが確認したLLVMの変更内容によると、GFX1171およびGFX1172にはいずれもRDNA 4mのラベルが付与されています。命令セットの機能はGFX1170と同一で、FP8やBF8データフォーマットへの対応に加え、AI演算に用いられるWMMA(Wave Matrix Multiply Accumulate)マトリクス演算命令もサポートしています。なお、これらの命令セットはFSR 4およびFSR 4でのフレーム生成に必要になると言われています。
なお、この3つの内蔵GPUモデルでは命令セットが共通であることから、違いはCompute Unit (CU)の数や動作クロックになると見られています。現行のRyzen AI 300/400シリーズと同様に、APUのクラスに応じて内蔵GPUの性能を使い分ける構成になりそうです。
搭載先はZen 6「Medusa Point」が有力
Linuxのドキュメントでは、GFX1170ファミリーはディスクリートGPUではなくAPUまたはSoCクラスのGPUとして識別されています。そのため、搭載先としては、2027年初頭の投入が見込まれるZen 6ベースのAPU「Medusa Point」が有力です。
なお、Medusa Pointの上位に位置づけられる「Medusa Halo」については、RDNA 4mではなくRDNA 5グラフィックスを搭載し、次世代のLPDDR6メモリにも対応するとされています。このことから、RDNA 4mはメインストリーム向けAPUに特化したアーキテクチャーであり、ハイエンドAPUではRDNA 5が搭載される形で棲み分けが図られる見通しです。
RDNA 4mに関しては以前はGFX1170と呼ばれるGPUしか紐づけられていませんでしたが、今回GFX1171とGFX1172が追加されたことで、RDNA 4mが単なる試験的な実装ではなく、少なくともMedusa Point APUに広く採用される内蔵GPUになることが明確になったと言えそうです。
今回のLinuxドキュメントでは3つのGPUモデルの具体的な違いは不明です。ただ、過去のAPU向けGPUの展開パターンを踏まえると、ハイエンドノートPC向け、薄型ノートPC向け、デスクトップAPU向けといったセグメント別の構成が想定されます。
なお、RDNA 4mの本格展開が確実視される一方で、アーキテクチャーとしてはあくまでRDNA 3世代(GFX11xx番台)の拡張であり、GPU演算性能自体の向上は限定的と見られます。
ただ、メインストリーム向けではコストとのバランスも重要です。FSR 4対応という実用的な強化に絞ったRDNA 4mの戦略は、合理的な判断といえそうです。



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