AMDのFSR 4はRDNA 4世代のRadeon RX 9070シリーズ専用のAIベース超解像技術として提供されています。しかし、未リリースのAdrenalinドライバから流出したDLLにより、次期バージョンとなるFSR 4.1がRDNA 3世代のGPUでも動作し、画質が向上することが明らかになりました。
未リリースのAdrenalinドライバからFSR 4.1 DLLが流出。RDNA 3 GPUでも動作可能
AMDのFSR 4はRDNA 4世代のRadeon RX 9070シリーズ向けに提供されているAIベースの超解像技術で、現行の最新バージョンはFSR 4.0.3となっています。FSR 4はRDNA 4のXMXアクセラレーター(機械学習向け演算ユニット)を活用するため、RDNA 3以前のGPUではネイティブには動作しない仕様です。
しかし、Guru3Dフォーラムのユーザー「The Creator」氏が、AMDの招待制ベータチャンネルで配布されている「Vanguard」と呼ばれるテストビルドのAdrenalin 26.3.1ドライバからFSR 4.1のDLLファイルを抽出し、公開しました。さらに、このDLLをダウンロードしたユーザーにより、RDNA 3世代のグラフィックスカードでもFSR 4.1が動作することや、画質の向上が確認されています。
System32のDLL置き換えでRDNA 3でも動作
Redditユーザーによると、FSR 4.1の導入方法はSystem32フォルダ内の「amdxcffx64.dll」を流出したFSR 4.1のDLLに置き換えるだけとのことです。このほかにOptiscalerを使って有効化する方法もあるようですが、DLL置き換えの方法で問題なく動作するとしています。
実際にRadeon RX 7900 XTの環境で『The Last of Us Part II』を起動したところ、アンチエイリアシングの設定画面にFSR 4.1.0の選択肢が表示されることが確認されています。なお、The Creator氏によると、LinuxのMESA 26.1.0環境ではFSR 4.1とFSR 4.0.3のフレームレートはほぼ同等とのことです。
Ultra Performanceモードでは草木の描写が大幅に改善

Redditでは早速、FSR 4.0.3とFSR 4.1の画質比較が行われています。『Hogwarts Legacy』をUltra Performanceモードで動作させた際、FSR 4.1はFSR 4.0.3に対して全体的にシャープネスが向上しており、特にFSRが苦手としていた草木の描写では大幅に鮮明な映像が得られています。木の幹やキャラクターの衣装のディテールもより明瞭に描かれている一方で、壁のテクスチャなど一部の要素では大きな差は見られないとのことです。
ただし、『Monster Hunter Wilds』ではFSR 4.1とFSR 4.0.3の間に目立った差が確認されなかったという報告もあり、タイトルによって効果に差がある可能性があります。
RDNA 3.5搭載APUで特に大きな効果を発揮?
AMDはRDNA 4に搭載されているXMXアクセラレーターをRDNA 3.5世代のAPU向けに移植したRDNA 4mを開発していると言われています。

しかし、FSR 4.1がRDNA 3系GPU全般に対応するとなれば、RDNA 4mを待たずとも、2025年に発売されたZen 5+RDNA 3.5構成のStrix Point系APUや、2023年に登場したZen 4+RDNA 3構成のPhoenix APUでもAIベースの高画質アップスケーリングが利用可能となります。
FSR 4がRDNA 3系で動作する可能性についてはFSR 4登場時から言われていましたが、数か月ほど前にFSR 4のソースコードが誤って公開された際にもRDNA 3での動作を視野に入れたものになっていることが明らかになっていました。ただ、それから数か月間はFSR 4のRDNA 3対応を巡る動きがない状態が続いていましたが、近いうちにFSR 4.1というメジャーアップグレードでRDNA 3対応として正式に提供されるものと考えられます。
なお、RDNA 3世代がFSR 4.1を使う場合にはFP8演算を行うXMXアクセラレーターが搭載されていないため、FP8演算をエミュレーションする必要があります。そのため、アップスケーリングによって得られるパフォーマンス向上率はRDNA 4系GPUに比べると低くなりますが、RDNA 3でどれだけ画質が向上するのか、またパフォーマンスの向上率も含めて、正式リリース後の検証結果に注目です。


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