GoogleはAI向けにメモリ使用量を圧縮するアルゴリズム「TurboQuant」を発表しました。これによる需要減退懸念と高値による需要の消失が重なり、米国や中国でDDR5メモリモジュール価格が大きく下落していますが、油断は禁物です。
DDR5モジュール価格が急落。中国では1週間で最大30%の値下がりも
DDR5メモリの販売価格は2025年秋以降、AI向けHBM増産に伴うコンシューマー向けDRAMの供給圧迫を背景に急騰が続いており、2026年1月にはピークに達していました。しかし、3月25日にGoogleがKVキャッシュ圧縮アルゴリズム「TurboQuant」を発表したことをきっかけにメモリ関連株が急落し、小売市場でも在庫の放出が加速したことで、モジュール価格の下落が鮮明になっています。
中国の小売市場で投げ売り発生。米国でも最大23%の値下がり
中国メディアの報道によると、中国の電子部品市場では32GB DDR5モジュールが先週時点で約3,000人民元(約6.3万円)だった取引価格が、今週に入り500〜1,050人民元の値下がりを記録。最も安い取引では1,950人民元(約4.1万円)にまで下落しており、一部製品では投げ売りも発生しています。
また、主流の16GB DDR5モジュールも2025年12月のピーク時に約1,000人民元だった価格が約700人民元まで30%近く下落しており、卸売業者からは「3月21日から価格が崩れ始め、1日で100元以上下がった日もある」「高値で売れなくなり、販売量はピーク比で60%以上減少した」との声が上がっています。
米国市場でも同様の傾向が確認されており、AmazonではCorsair Vengeance DDR5-6400 32GBキットが直近の高値490ドルから379.99ドル(約5.7万円)へ約23%下落しているほか、DDR5-5200 16GBモジュールも260ドルから219.99ドルへ約15%値下がりしています。
日本はTurboQuant原因のメモリ価格変動は確認されず
日本ではメモリ価格が2026年1月頃をピークに高値による買い控えから徐々に値下がりに転じています。しかし、3月に入ってからは横ばいが続いていますが、TurboQuant発表後も目立った価格変動は確認できていません。
TurboQuantによる投げ売りは一時的。値下がりの持続は期待薄
今回の値下がりのきっかけとなったのが、Googleが3月25日に発表したTurboQuantです。これはLLMの推論時に使用されるKVキャッシュのメモリ消費量を最大6分の1に圧縮し、NVIDIA H100上で最大8倍の高速化を実現するアルゴリズムで、精度の低下もほぼないとされています。
この発表を受けて、MicronやSK Hynixなど主要メモリメーカーの株価が急落。小売市場でもさらなる値上がりを期待して買い占めを行っていた業者が需要の先行きを懸念して投げ売りに動き、スポット価格の下落が加速しています。
ただし、TurboQuantはメモリの使用量を削減するというよりは、既存ハードウェアでAIの処理性能を向上させる技術であるため、メモリ需要そのものが減少する可能性は低いと見られています。
また、今回の値下がりはスポット価格や小売価格に限られており、サムスンやSK Hynixが企業と結ぶ契約価格には影響が出ていません。韓国の大信証券の調査では、大手CSP(クラウドサービスプロバイダー)がサーバー向けDDR4をHBM3eを上回る価格で購入していることも確認されており、実需の強さは健在です。そのため、時間が経てばスポット価格や小売価格は再び上昇に転じる可能性が高く、過度な期待は寄せないほうがよい状況といえます。



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