メモリ不足で家電やスマホメーカーが多数倒産する可能性。Phison CEOが警告

  • URLをコピーしました!

AI向けメモリ需要の急増により、DRAMおよびNANDフラッシュの供給不足が深刻化しています。こうした中、メモリコントローラー大手PhisonのCEOであるPua Khein-Seng氏が、2026年末までに多くの家電メーカーが倒産または事業撤退に追い込まれる可能性があると警告しました。

目次

メモリ供給の逼迫が家電業界を直撃。生産削減と倒産の連鎖か

メモリ価格の高騰はすでにPC市場で大幅な値上がりを引き起こしているほか、スマートフォンではASUSやOnePlusが事業の縮小・撤退を余儀なくされるなど、コンシューマー製品全体に波及し始めています。

こうした状況について、Phison CEOのPua氏は今後さらに深刻化するとの見方を台湾メディアのインタビューで示しており、メモリ不足や価格高騰がPC系のみならず家電全体に広がり、一部企業では倒産や事業撤退、製品ラインアップの大幅縮小に追い込まれるとしています。

フラッシュメーカーが「3年分の前払い」を要求。増産も最短2年

Pua氏によると、現在のメモリ市場は完全な売り手市場になりつつあり、あるフラッシュメーカーが供給の条件として3年分の代金前払いを要求しているとのことです。

同氏は「業界に数十年いるが、こんなことは初めて」と述べており、TSMCですらNVIDIAに3年分の前払いは求めていないと指摘しています。メーカー側の姿勢は「嫌なら他の客がいる」というもので、Phison自身もこれに対応するため、払込資本22億台湾ドルに対し、今年の運転資金として100〜200億ドル(約500億台湾ドル)規模の資金確保が必要になっているとのことです。

一方、増産による供給改善にも高い壁が立ちはだかっています。3D NANDの積層数増加に伴い設備投資は膨張を続けており、半導体製造装置も世界的に取り合いの状態です。工場の物理的な建設に8〜12か月、装置の納入やデバッグ、歩留まり安定化まで含めると着工から量産まで最短でも2年はかかります。Micronは先月シンガポールで新しいフラッシュ工場の起工式を行いましたが稼働は2028年以降の見込みで、Samsung、SK Hynix、KIOXIAも同様のスケジュール感であり、供給が需要に追いつく見通しは立っていません。

家電・スマホが「犠牲」に。今年後半に倒産企業も

こうした供給不足のしわ寄せは、AIサーバーにとどまらずコンシューマー向け製品にも深刻な影響を及ぼしています。Pua氏によると、スマートフォンは2026年は世界全体で前年比で2億〜2億5000万台の生産減少が見込まれているほか、テレビへの打撃はさらに大きく、300ドルのテレビでストレージコストが従来の1.5ドルから20ドルへと急騰するなどコスト構成が根本から崩れています。

このコスト構造はサーバーなどではストレージが全体コスト(BOM)の5〜6%に過ぎないため価格上昇を吸収できますが、スマートフォンではBOMの20%以上を占めており、値上げが困難なコンシューマー向け製品のメーカーほど損失を被る構造になっています。Pua氏は「今年後半には多くの犠牲者が出る。部材を確保できない企業はすぐに潰れる」と警告しており、「これから1〜2年は、壊れた家電は捨てずに修理して使う時代になる」とまで述べています。

なお、現在の供給不足は米国のクラウド需要だけで引き起こされたものであり、中国のクラウド展開やエッジAI、教育分野といった巨大な需要セグメントはまだ本格化していません。そのため、Pua氏はこれらが動き出せば「さらなる不足の波が来る」としており、不足の終わりは見えない状況であることを明らかにしています。

コメント・考察

DRAMやNANDの不足や価格高騰により、PCに加えスマートフォンやゲーム機などメモリを多く搭載する製品ではコストが高騰している状態です。その一方で、コンシューマー向け製品は値上げが容易ではなく、値上げすればそのまま販売台数減少につながり、販売台数が減れば調達時の価格交渉力が低下するという悪循環に陥ります。

そのため、今後規模の小さなスマートフォンや家電メーカーでは値上げに耐えられず、Phison CEOが言うように倒産や事業撤退、ラインアップ縮小に晒される可能性はかなり高いといえます。消費者にとっても選択肢の縮小や価格上昇という形で影響が及ぶことは避けられないといえそうです。

ソース
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

コメント

コメントする


目次