Intelは現行Arrow Lake世代のリフレッシュ版となるCore Ultra 200S Plusシリーズ(コードネーム:Arrow Lake Refresh)のデスクトップ向けモデルを開発中で、2026年春頃の発売が予定されています。しかし、このシリーズの最上位モデルとして投入予定だったCore Ultra 9 290K Plusについて、発売が見送られることが明らかになりました。
Arrow Lake Refresh最上位「Core Ultra 9 290K Plus」の発売が取りやめに
Intelが2024年に発売したCore Ultra 200Sシリーズ(Arrow Lake)は、特にゲーミング性能の面で消費者の期待を上回ることができず、競合のRyzen 9000X3Dシリーズに対して販売面で大きな差をつけられている状況です。こうした背景から、IntelではCore Ultra 200Sシリーズのテコ入れを目的に、リフレッシュ版となるCore Ultra 200S Plusシリーズを開発していることがリーク情報で明らかになっています。
このCore Ultra 200S PlusではCore Ultra 5 250K Plus、Core Ultra 7 270K Plus、そして最上位モデルのCore Ultra 9 290K Plusがラインアップされる予定でした。しかし、最上位にあたるCore Ultra 9 290K Plusが発売目前にして取りやめになったことが判明しています。
Core Ultra 9 290K Plus発売中止の理由はコストパフォーマンスが低いため?
Core Ultra 200S Plusシリーズとして発売予定の3モデルは、すでにレビュアー向けにサンプルが提供されており、ベンチマークにもCore Ultra 9 290K Plusが登場するなど発売が刻一刻と迫っている状況でした。しかし、Videocardzの報道によると、Intelはこの最上位モデルの発売を取りやめたとのことです。
発売中止の理由について、Intelはすでにサンプルを配布したレビュアーなどに説明資料を提示しています。その資料によると、Intelはパフォーマンス・パー・バリュー(性能あたりのコスト効率)を重視する方針へ転換したとしており、その一環としてCore Ultra 9 290K Plusの発売を見送る決断を下したとされています。
24コアCPUの重複が取りやめの原因か?
| 仕様 | Core Ultra 9 290K Plus | Core Ultra 9 285K | Core Ultra 7 270K Plus |
|---|---|---|---|
| コア数 | 24コア(8P+16E) | 24コア(8P+16E) | 24コア(8P+16E) |
| P-Core 最大クロック | 5.6 GHz | 5.5 GHz | 5.4 GHz |
| E-Core 最大クロック | 4.8 GHz | 4.6 GHz | 4.7 GHz |
| L3キャッシュ | 36 MB | 36 MB | 36MB |
Core Ultra 200S PlusのCore Ultra 5やCore Ultra 7では、動作クロックの向上に加えてE-Coreが現行モデルから4コア増加しています。これにより、Core Ultra 7 270K Plusは8P+16Eの合計24コア構成となるため、現行のCore Ultra 9 285Kと合わせると、Core Ultra 9 290K Plusが投入された場合には24コア構成の製品が3モデルも併存することになります。
こうした事情から、Intelは上位モデル間での差別化が困難になることを懸念し、価格が高い割に現行モデルからの性能向上幅が限定的なCore Ultra 9 290K Plusの投入を見送ったものと見られています。
24コア構成のCPUが飽和する点は発売前から予見できていた問題ですが、2025年下半期から深刻化しているメモリ価格の高騰とそれに伴うハイエンド製品の需要低迷も判断材料になったと考えられます。Intelとしては、Core Ultra 9 290K Plusをあえて発売しても販売面でほとんど意味のない存在にしかならないと判断した可能性が高いです。
なお、Core Ultra 200S Plusでは現行のCore Ultra 200Sに対して動作クロックやE-Coreの増加に加え、uncore部分の動作クロックも向上しているといわれており、ゲーミング性能は10〜30%ほど改善すると見込まれています。ただし、Core Ultra 9 290K Plusの投入が見送られたことで、ゲーミング性能において現行世代を上回ると評価されるRaptor Lake Refresh世代のCore i9-14900Kを超えるCPUは、LGA 1851プラットフォームには登場しないことになりそうです。IntelとしてもLGA 1851プラットフォームに対する販売面での注力度は限定的になるものと考えられます。
Core Ultra 200S Plusは現行世代に対してゲーミング性能が10〜30%向上するとうわさされており、この数字が正しければCore Ultra 9 290K PlusはRyzen 7 9800X3Dに迫る性能が期待できるなど、現行世代で課題とされていたゲーミング性能を挽回する製品として注目されていました。しかし、メモリ価格の高騰などにより高性能製品が売れにくい市場環境となっている中、Intelとしてコストをかけてダイを選別したCore Ultra 9 290K Plusを発売しても、得られる商業的な価値はほとんどなくなったといえそうです。
また、すでにレビュアーにサンプルが配布された後のタイミングでの発売中止はかなり異例であり、Intel社内でもCore Ultra 200S Plusの製品戦略をめぐって方針が定まりきっていないことを示唆しているともいえます。
なお、Intelは2026年後半に最上位モデルで52コア構成を採用し、一部モデルではゲーミング性能向上のための大容量キャッシュを搭載するNova Lakeを新しいLGA 1954プラットフォームで投入する予定です。そのため、Core Ultra 200S Plusは性能にかかわらず消費者にとっては購入を慎重に検討すべき存在といえ、Intel自身も同製品への注力は限定的と見られます。



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