MicrosoftはAIの中心的存在として同社が開発するCopilotをWindows 11などに統合しているほか、さまざまな個別アプリにもCopilotを投入しています。しかし、ユーザーからの強い反発を受けて同機能の縮小や削除を検討していることが明らかになりました。
Windows 11に無理やり組み込まれたCopilot
Microsoftは2023年5月ごろ、同社のAIであるCopilotのWindows 11への統合を発表しました。同年秋に配信されたWindows 11 23H2ではCortanaに代わりCopilotがスタンドアローンアプリとして組み込まれ、2024年には高性能なNPUを備えるPCを対象にAI機能をより深く統合したCopilot+も正式に発表されています。
ただ、このCopilotの評価は決して良いものではありません。スタンドアローンアプリでは当初、PCの設定やトラブルシューティングも可能になるといわれていましたが、そのような機能はいまだに提供されていません。また、Copilot+に関してはセキュリティやプライバシーの懸念から、実際の投入が1年間延期される事態となりました。
しかし、Microsoftはめげずにファイルエクスプローラーやメモ帳、ペイントなどの標準アプリにもCopilotボタンを追加しました。ところが、機能的な意味がなく完成度も低い状態のまま投入されたことで、批判はさらに強まる結果となっています。こうした状況を受け、同社はユーザーからの批判が無視できない規模に達しているとして、Copilotを含むWindows 11のAI戦略を大幅に見直すことを検討していることが明らかになりました。
エージェント型OSに進化させる構想は頓挫へ。批判が殺到
MicrosoftはCopilotなどのAIを通じてWindows 11をエージェント型OSへ進化させ、デバイス・クラウド・AIを接続することで生産性を向上させるという構想を、2025年末ごろにXで明らかにしました。しかし、ユーザーからの批判は数千件にも上り、Windows 11へのAI機能追加に対する反応は否定的なものが大半を占めています。
Copilotボタン追加に関するフィードバックも多くが否定的な状況とのことで、Windows Centralによると、この反発は社内チームにも影響を与えており、MicrosoftはWindows 11のAI戦略を見直す方針に転じたとのことです。
現時点では具体的な変更内容は限定的なものの、少なくともメモ帳やペイントなどに統合されたCopilot機能は見直しの対象となっているようです。Copilotが完全に削除される可能性があるほか、UIや機能を見直してAIを全面に押し出さない形へ置き換えることも検討されています。
このほか、Windows 11のプレビュービルドで確認されていたエクスプローラーなど標準アプリへのCopilotボタン追加についても、正式投入に向けた作業が停止されています。MicrosoftはWindows 11へCopilotをゴリ押しする方針を改め、かなり慎重な姿勢に転じているようです。
「AIをどこにでも」から「意味のある場所にだけ」へ
Microsoftは2026年にはWindows 11の品質向上に主眼を置くことを明らかにしていましたが、Copilotの投入停止はこの一環とみられています。同社はユーザーのフィードバックに耳を傾けていることを示すため、目に見える変更を迅速に実施する方向で動いているとのことです。
そのため、Copilotのように表面的で、大多数のユーザーにとって利便性が向上しないAI機能については、投入見送りや機能削除が行われるとみられています。一方で、Semantic Search、Agentic Workspace、Windows ML、Windows AI APIなどプラットフォーム寄りのAI機能については、予定通り開発が継続されるとのことです。今後はユーザーの操作やその意図をアシストする機能、アプリ開発者がAIを活用しやすくする取り組みに重点が置かれることになり、ユーザーにとってはありがたい方針変更といえそうです。
Microsoftに関しては、2025年末にCEOのSatya Nadella氏がAIのさらなる推進を訴えるブログを公開しました。その中で2026年は「AI Slop」(役に立たないAI生成物を指すネットスラング)と呼ばれないようにしたいと明言するとともに、AIの必要性や可能性を強調する内容でした。しかし、この内容はすぐさまさまざまなメディアやユーザーから嘲笑を受け、最終的には「AI Slop」とMicrosoftを掛け合わせた造語「Microslop」という言葉が瞬く間に広がりました。
それほどまでにMicrosoftのAIは評判が悪かったわけですが、同社もようやくAIゴリ押しの姿勢が評価につながっていないことを認識したようです。
なお、今後Copilot機能の縮小や見直しが進むとみられますが、AI推進の姿勢そのものは変わらないでしょう。ただし、以前のようにAIの投入自体を目的とする姿勢から、ユーザーにどのような価値を訴求できるかという視点での開発に転換することが期待できます。今後、Windows 11へのAI統合がどのような形でユーザーにメリットをもたらすのか注目が集まります。



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