DDR5メモリは品薄や価格高騰により、2025年1月頃と比較して容量あたりの単価が3倍以上に高騰しています。そのため、少しでもメモリの購入コストを抑えたいところですが、AMDのRyzen 9000X3Dシリーズであれば、DDR5を1枚挿しのシングルチャンネル構成でも性能差はあまりないことが明らかになりました。
DDR5の購入量を減らせる「シングルチャンネル」が意外に使えると判明
ここ最近のPCではメモリを2枚挿して運用するデュアルチャンネル構成が主流であり、メモリを1枚のみ挿して運用するシングルチャンネルの場合、パフォーマンス低下の懸念があることからあまり推奨されてきませんでした。
しかし、ここ最近はメモリ価格が16GBの2枚セットで5万円前後、32GBの2枚セットの場合は10万円と、デュアルチャンネル構成はコストがかさむ状態になっています。
そんな中、ドイツのComputerBaseがAMDのRyzen 7 9800X3Dなど3D V-Cacheを搭載したRyzen 9000X3Dシリーズではシングルチャンネル構成でもゲーミングを含めた性能低下は極めて限定的であり、ほとんどの場合では問題がないことを明らかにしています。
シングルチャンネル構成でもゲーム性能は平均5%低下に留まる
ComputerBaseはRyzen 7 9850X3Dを用いて、16GBのDDR5-5600 MT/sを2枚組み合わせたデュアルチャンネル構成と、16GBのDDR5-5600 MT/sを1枚のみ搭載したシングルチャンネル構成でのゲーミングや各種アプリケーションでの性能を比較しています。
まずメモリ帯域を計測するAIDA64では、読み込みや書き込みが同時に行われるCopyがデュアルチャンネルでは約56GB/sに達していましたが、シングルチャンネル構成では36GB/sへ大きく低下しています。

しかし、このメモリ帯域幅の差は実用面への影響はかなり少ないようで、10タイトルを計測した結果、デュアルチャンネル構成のRyzen 7 9850X3Dに対して、シングルチャンネル構成は平均5%劣る程度に留まることが明らかになっています。
ただし、一部タイトルは影響を色濃く受けるケースもあるようで、10タイトルのうち、Marvel's Spider-Man 2では16%、Avowedでは10%のフレームレート低下が見られる場合もあるようです。
レンダリングなどクリエイティブ用途でも影響は皆無
BlenderやCinebench 2024などCPU性能に依存するアプリケーション性能も、メモリ構成による差は限定的なようで、デュアルチャンネル構成に対して、シングルチャンネル構成は平均約2%劣るレベルに留まっています。
ただし、こちらもメモリ帯域幅への感度が高いアプリもあり、7-Zipではデュアルチャンネル構成に対して7%劣る結果になっています。
大容量な3D V-Cacheがメモリ帯域への依存度を低減?
今回、Ryzen 7 9850X3Dがメモリ構成による性能差が出にくい理由としては、3D V-Cache搭載製品ではCPU合計で100MBを超える大容量なL3キャッシュを備えているため、メモリへのアクセス頻度が減少し、結果的にメモリ帯域への依存度が低くなっているためだと考えられます。

実際に、AMDも通常のRyzen 9000シリーズではスイートスポットといっていたDDR5-6000 MT/sは3D V-Cacheモデルには当てはまらず、DDR5-4800 MT/sでも十分との見解を示すなど、3D V-Cacheのメモリ帯域への依存度の低さを認めています。
DDR4対応CPUを買うよりシングルチャンネルでRyzen 7 9800X3Dを買う方がいいかも?
ここ最近はメモリ価格高騰を背景に、すでに持っているDDR4を流用するために古めのDDR4プラットフォームからソケットAM4プラットフォームへ乗り換えるユーザーが増えていることが販売ランキングなどから明らかになっています。
しかし、ソケットAM4などのDDR4プラットフォームはメモリ価格高騰を背景に売れてはいるものの、すでにライフ末期の状態であり、将来性はほぼないといえます。
そのため、多少コストはかかりますが、ある程度のゲーミング性能を求める場合はRyzen 7 9800X3Dと32GBのDDR5をシングルチャンネルで運用するのも一つの選択肢です。将来的にDDR5の価格が下がった際に32GBを追加して64GB化できるほか、ソケットAM5は2028年発売のZen 7にも対応するといわれているため、将来性という観点では有力な選択肢になるといえそうです。
ここ最近のPCはメモリをデュアルチャンネルで組むことが当たり前という状態でしたが、メモリ価格高騰に伴いシングルチャンネルでの運用もやむを得ない状態になりつつあります。そんな中で、シングルチャンネルでも性能が下がらないRyzen 7 9850X3DなどRyzen 9000X3Dシリーズは、消費者にとっては救いともいえる製品となりそうです。特に、ソケットAM5の場合はZen 6のほかZen 7にも対応するといわれているため、今後の将来性もAM4に乗り換えるよりはよほどあるといえます。
ただし、注意点として、たとえば32GBのDDR5を購入し、追加で32GBを買う際には同じメーカーで揃えないと不具合が起きるリスクがあるため、容量追加時には若干神経を使うことになります。しかし、デュアルチャンネルを一気に揃えるのは厳しいという場合の緊急策としては、シングルチャンネルでの運用は十分合理的といえそうです。



コメント