IntelはTSMCに対抗するファウンドリー事業の構築を目指しており、最近ではアメリカ政府からの支援やTSMCの持つ地政学リスクが追い風になりつつあります。そんな中、ファブレス企業の大口顧客として期待されるNVIDIAが、2028年頃登場予定のGPUの一部をIntelへ製造委託する可能性が高まっているようです。
NVIDIAがFeynman世代でIntelファウンドリー採用を検討
Intelのファウンドリー事業は数年前に発足したものの、顧客が付かず苦戦を強いられていました。しかし最近は、アメリカ政府からの支援に加え、台湾に多くの拠点を持つTSMCの地政学リスクや値上げによりAppleなどが関心を寄せていることが明らかになっています。
そんなIntelファウンドリーですが、数か月前に協業を発表したNVIDIAも同社の製造プロセスを採用する計画があるようです。具体的には、2028年に投入予定のFeynmanアーキテクチャーにおいて、Intel 18A-PまたはIntel 14Aの採用を検討しているとのことです。
GPUダイは引き続きTSMC担当。IntelはI/Oダイやパッケージングを担当へ
Digitimesによると、NVIDIAの計画ではFeynmanのGPUダイなど性能が求められる部分は最先端プロセスでの製造が必要なため、引き続きTSMCへ製造が委託される見込みです。
一方で、ダイサイズが大きくなりやすいものの最高水準の性能が求められないI/Oダイに関しては、Intel 18A-PプロセスまたはIntel 14Aプロセスで製造する方針とされています。
また、最終的なパッケージングもIntelのEMIB技術を活用する計画で、パッケージングの比率ではIntelが最大25%、TSMCが約75%を担当すると見られています。
サプライチェーン関係者によると、トランプ政権が掲げるアメリカでの製造回帰への目標や関税圧力、地政学リスクや値上げなどを受け、NVIDIAを含むファブレス企業が既にIntelと協議しているとのことです。ただし、直近の製造プロセスであるIntel 18Aは歩留まりなどの観点で顧客の期待に達していないことから、NVIDIAを含め、実際に採用される製造プロセスは2028年量産予定のIntel 14Aからになると見られています。
Intelへの分散はTSMCにとっては利益の方が大きい?
TSMCを独占的に利用していたNVIDIAなどがIntelへ流出するのは、TSMCにとってマイナスが大きいと見られていますが、実情としては弊害より利益の方が大きくなるとの見方もあります。
というのも現状、TSMCは半導体製造において独占的な地位を持っているため、反トラスト法に対する懸念や上述のトランプ政権からの政治的圧力などを受ける可能性がありました。しかし、Intelのシェアが高まればそのような懸念を軽減できるようになります。
また、今回のNVIDIAの計画では引き続きGPUダイなど最高性能が求められる製品はTSMCが担当し、流出するのは「非コア」の注文のみであると見られています。そのため、各社が高い金額を払う高性能チップの製造は引き続きTSMCに注文が集まり、将来的にも価格交渉や供給で有利な立場を維持できると考えられています。
さらに、「他のファウンドリに発注を試みた顧客こそ、TSMCの価値を再認識するだろう」という強気な業界関係者の見方もあり、Intelに一部顧客が移ることに対してあまりネガティブには捉えられていないようです。
IntelはNVIDIAとの協業もあるほか、全面的にTSMCに頼って生産することは値上げや供給能力の面でもリスクがあります。そのため、TSMCを中心としつつも徐々にTSMC以外のファウンドリーとも取引することで、このリスクを下げようとしていると見られています。
ただし、TSMCの製造技術が最高水準であることを踏まえると、今後も性能が求められるサーバー向けはTSMCが採用される一方、コンシューマー向けやエントリー向け製品などはIntelやサムスンといったファウンドリーに委託されるなど、分散が進むと考えられます。



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