メモリ不足を背景にグラフィックスカードの生産状況は悪化しており、すでにRTX 5090などハイエンドモデルを中心に入手困難な状況となっています。そうした中、同価格帯で高いコストパフォーマンスを誇り人気だったGeForce RTX 5070 TiとRTX 5060 Ti 16GBが生産終了となったことが明らかになりました。
GeForce RTX 5070 TiとRTX 5060 Ti 16GBが生産終了に
NVIDIAのグラフィックスカードを巡っては、2025年12月頃からメモリ不足に伴う価格高騰を背景に供給状況が悪化しています。RTX 5090から始まり、2026年1月16日現在ではRTX 5060 Ti 16GBに至るまで入手困難か、あるいは非常に高価な価格で販売される状況となっています。
これらのグラフィックスカードについて、NVIDIAやAIB(Add-in Board:グラフィックスカードメーカー)などからはRTX 5060やRTX 5060 Ti 8GBなど必要とするメモリが少ない製品を最優先で供給することがリークされており、供給の滞りは暫定的な措置との見方がされていました。しかし、NVIDIAは少なくともGeForce RTX 5070 TiとRTX 5060 Ti 16GBについては生産を停止した可能性が高まっているようです。
ASUSがGeForce RTX 5070 Tiを生産終了に
オーストラリアのテック系YouTuberであるHardware Unboxedが、CES 2026の会場にて各社AIBにグラフィックスカードの供給状況について確認を行いました。その結果、ASUSがGeForce RTX 5070 Tiについて供給が全くされない状況が続き、今後も続く見通しであることから、同製品をEnd of Life(生産終了)としたことが明らかになりました。今後再生産が行われる可能性はほぼないとのことです。
この状況はASUSのみならず他のメーカーでも同様のようで、オーストラリアの量販店もAIBからRTX 5070 Tiを全く入荷できない状態とのことです。2026年第1四半期中はこの状態が続くことは確実で、その後も改善する見込みはないとされています。
Hardware Unboxedでは、もともとRTX 5070 Ti SUPERの投入が先送りされたことに伴い、どのAIBのRTX 5070 Tiが優れているかを比較する動画を制作するためにサンプル機の貸し出しを打診していました。しかし、そもそも在庫が全くないことが明らかにされたとのことです。
なお、日本ではGeForce RTX 5070 Tiはドスパラが販売するPalit製とTSUKUMOが販売するPNY製の2モデルの在庫がありますが、どちらも価格は18万円となっています。RTX 5070 Tiが発売された当時の15万円から大きく値上がりしており、購入を躊躇する価格帯になっています。
GeForce RTX 5060 Ti 16GBも生産終了
ASUSによると、RTX 5070 Tiに加えてGeForce RTX 5060 Ti 16GBもNVIDIAからの供給が完全に滞っているとのことです。生産継続は困難として、こちらも生産終了が明らかにされました。
同グラフィックスカードはオーストラリアではすでに入手困難な状況となっています。日本では販売されているものの、9万円に迫る価格帯となっており、ほとんどの消費者にとって納得しがたいプレミア価格での販売となっています。
メモリが選べる場合は小容量優先、同じメモリ容量なら上位モデルを優先
GeForce RTX 5060 Ti 16GBやRTX 5070 TiなどGDDR7を16GB搭載するグラフィックスカードが軒並み生産終了となりますが、16GBのGDDR7を搭載する製品としてGeForce RTX 5080は残り続けるようです。
この背景には、NVIDIAが「Same SKU, Less RAM. Same Memory, Higher SKU」(同じモデルなら低容量優先、同じメモリ容量なら上位モデル優先)という方針を示していることがあります。
具体的には、RTX 5060 Tiに8GB版と16GB版が存在する場合、8GB版の供給が優先されます。また、RTX 5060 8GBとRTX 5060 Ti 8GBのようにメモリ容量が同じ場合は、上位モデルであるRTX 5060 Tiが優先的に供給されるという仕組みです。同様に、RTX 5060 Ti、RTX 5070 Ti、RTX 5080はいずれも16GBを搭載しているため、この中ではRTX 5080が最も優先的に供給されることになります。
この方針に則ると、RTX 5080は引き続き生産が続けられる形にはなります。しかし、合計8枚のGDDR7モジュールが必要となるため、メモリ不足の環境下では製造が困難になることも予想されています。そのため、NVIDIAやAIBはRTX 5070の生産も大幅に縮小または停止することで、RTX 5080向けにメモリを捻出することも検討しているようです。メモリ不足や価格高騰の度合いによっては、RTX 5070も市場から姿を消す懸念があります。
GeForce RTX 5000シリーズについては、メモリ不足や価格高騰によりRTX 5060とRTX 5060 Ti 8GBの供給を優先することが明らかになっていました。しかし、RTX 5070 TiやRTX 5060 Ti 16GBを実質的に生産終了とするなど、NVIDIAやAIBもこのメモリ不足は近いうちに改善しないと判断したといえそうです。
そのため、今後も特にNVIDIA製グラフィックスカードについては値上げやラインアップの縮小が続くと考えられます。買い時を逃した消費者は、メモリ不足が収まるか、GeForce RTX 6000シリーズの発売まで待つなど、1〜2年程度はグラフィックスカードを簡単には買えない状況が続きそうです。



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