NVIDIAのGeForce RTX 5090は発売以降、散発的に12V-2x6コネクターが溶けるなどの不具合が報告されていますが、今回コネクター部分から発火し、コネクターやケーブルの一部が原形を留めないほど焼損してしまうという深刻な事例が発生したようです。
GeForce RTX 5090のコネクターや周辺が「焼損」する事例が発生
GeForce RTX 5090においては12V-2x6コネクターが溶ける事例が何件か発生していますが、その多くはコネクター部分の一部端子が溶けるだけにとどまっていました。コネクターの筐体がすべて溶けたり、ケーブル線が溶け落ちるほど深刻な事例は今まで報告されていませんでした。
しかし、今回Redditユーザーのnmp14fayl氏がコネクター部分が完全に溶け落ち、電源ケーブル側は銅線が剥き出しに、そして近接していたAIO水冷クーラーのチューブも焦げるなど、一歩間違えれば火災につながる深刻な事案を報告しています。


損傷の状態はかなり深刻で、コネクター部分は原形を留めておらず、さらにケーブル部分は被覆が溶け落ち銅線が剥き出しになるなど、過去に報告されていたコネクターの溶損をはるかに上回る被害となっています。また、ケーブルに近かったと見られるAIO水冷クーラーのチューブ部分も焦げていることが確認でき、一歩間違えれば火災にもつながりかねない状況であったようです。
ATX 3.1準拠の電源ユニットとネイティブケーブルを使用
nmp14fayl氏の使用環境としては、MSI製GeForce RTX 5090と、ATX 3.1規格に準拠した電源ユニット「PowerSpec 1050 GFM」を組み合わせ、同梱されていたネイティブの12V-2x6電源ケーブルを利用していたとのことです。
溶損事例が多かったGPU同梱の8pin→12V-2x6変換アダプターなどは使っておらず、規格に沿った正規の構成で運用していた状態です。また、グラフィックカードの配置もコネクターが極端に曲げられたり、熱がこもるような状態ではなく、発火が発生するような要因は見当たらない状態で使用されていたことが確認されています。
イマイチ原因がはっきりしていない12V-2x6の溶損不具合
12V-2x6コネクターの問題についてはGeForce RTX 4090登場時に話題となり、最終的にはコネクターが完全に挿入されていない状態で運用することで、ピンごとに許容される電流量を超えてしまい発熱・溶損が発生するというメカニズムが明らかにされています。
ただし、RTX 5090の溶損事例では完全に嵌合(かんごう:コネクターが正しく接続された状態)している状態でも発生が報告されており、今回の事例もコネクターの間には隙間がなく、完全嵌合状態で運用していたと見られています。
そのため、RTX 5090などで見られている溶損ではコネクターの嵌合不良以外にも別の原因があると考えられていますが、その原因についてはNVIDIAやAIB(グラフィックカードメーカー各社)からの声明もなく、明確な原因はわかっていない状態が続いています。ただ、今回の事例は一歩間違えれば火災など深刻な被害が出た可能性もあるため、そもそもこの12V-2x6コネクター自体の安全性について疑問視せざるを得ないといえそうです。
12V-2x6についてはGeForce RTX 5000シリーズのRTX 5070からRTX 5090まで、すべてのモデルに搭載されているコネクターです。しかし、コネクターが溶けたという事例のほとんどは最大575Wの消費電力を持つGeForce RTX 5090で発生しているため、そもそも12V-2x6の規格に対して500Wもの電力を流すこと自体に無理がかかっている可能性がありそうです。
ただし、現状RTX 5090などハイエンドモデルでは12V-2x6しか選択肢がなく、原因もはっきりしていないため、ユーザーにできることはコネクターが完全に挿さっているか確認するなど基本的なことに限られ、あとは運に任せるしかない状態となっています。



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