AMDは2026年1月開催のCES 2026にてRyzen 9000シリーズの新モデルにあたるRyzen 7 9850X3DとRyzen 9 9950X3D2を正式発表するといわれていますが、今回この中で最上位モデルとして新たに登場するRyzen 9 9950X3D2のベンチマーク結果が登場しました。
3D V-Cacheを2つ搭載するRyzen 9 9950X3D2
AMDはCES 2026でRyzen 9000シリーズ最上位モデルにあたるRyzen 9 9950X3D2を正式発表すると見られています。このRyzen 9 9950X3D2は現行のRyzen 9 9950X3Dに対して、2つ搭載するCCDがすべて3D V-Cache化されており、L3キャッシュ容量は128MBから192MBに拡大されるといわれています。
今回はそんなRyzen 9 9950X3D2のGeekbenchとPassmarkベンチマークが掲載され、その性能やスペックなどの情報が明らかになっています。
ベンチマークでの性能はRyzen 9 9950X3Dとほぼ変わらず
Ryzen 9 9950X3D2はPassmarkとGeekbench 6の2つのベンチマーク結果が登録されています。

PassMarkベンチマークでは、Ryzen 9 9950X3D2はマルチスレッドスコア71585を記録し、Ryzen 9 9950X3Dの70154から約2%向上しています。一方、シングルスレッド性能は100MHz低いブーストクロックの影響でやや低下しています。
| Passmark | シングルスレッド | マルチスレッド |
|---|---|---|
| Ryzen 9 9950X3D2 | 4716 | 71585 |
| Ryzen 9 9950X3D | 4739 | 70154 |
| Ryzen 9 9950X | 4729 | 65857 |

Geekbench 6.5.0でのテスト結果も公開されています。テスト環境はGALAX製B850マザーボードに96GBのDDR5-4800メモリーを搭載した構成となっています。
| Geekbench 6 | シングルスレッド | マルチスレッド |
|---|---|---|
| Ryzen 9 9950X3D2 | 3456 | 21062 |
| Ryzen 9 9950X3D | 3395 | 22126 |
| Ryzen 9 9950X | 3385 | 21435 |
Geekbench 6ではマルチスレッドは21,062ポイント、シングルスレッドが3,456ポイントを記録しています。シングルスレッドは3つの中で最も高いスコアを記録する一方で、マルチスレッドはRyzen 9 9950X3DやRyzen 9 9950Xにも劣るスコアになっているなど、Passmarkと同様に明確な優位性は示せていません。
なお、テスト環境ではDDR5-4800という遅めのメモリーを搭載しているため、DDR5-6000以上のメモリーを使用すれば性能向上が期待できます。ただし、少なくともベンチマーク上での差はデュアル3D V-Cache化してもあまりないように見られます。
真価を発揮するのはゲーミング?
今回のベンチマーク結果では、Ryzen 9 9950X3D2は現行のRyzen 9 9950X3Dに対して大きな性能差は見られませんでした。しかし、ベンチマーク情報からは同CPUの大まかなスペックも明らかになっています。
| 項目 | Ryzen 9 9950X3D | Ryzen 9 9950X3D |
|---|---|---|
| コア/スレッド | 16/32 | 16/32 |
| アーキテクチャ | Zen 5 | Zen 5 |
| ベースクロック | 4.3 GHz | 4.3 GHz |
| 最大クロック | 5.6 GHz | 5.7 GHz |
| L3キャッシュ | 192 MB | 128 MB |
| TDP | 170W | 170W |
主要スペックを比較すると、コア/スレッド数やベースクロック、TDPは両モデルで共通です。一方、L3キャッシュは128MBから192MBへと大幅に増加している反面、最大クロックは5.7 GHzから5.6 GHzへと引き下げられています。
L3キャッシュが192MBに増加したのは、両方のCCDに3D V-Cacheが搭載されたためです。これによりL2キャッシュの16MBと合わせると、CPU全体で208MBという巨大なキャッシュ容量を実現しています。
最大クロックは、スペックシート上では5.7 GHzから5.6 GHzに下がったように見えますが、実態は異なります。従来のRyzen 9 9950X3Dでは、最大5.7 GHzで動作するのは3D V-Cache非搭載側のCCDであり、3D V-Cache搭載側は最大5.2 GHz程度に留まっていました。しかし、Ryzen 9 9950X3D2では3D V-Cache搭載CCDが5.6 GHzまで動作するようになっており、実質的には大幅な改善といえます。
なお、今回のベンチマークではデュアル3D V-Cache化による明確な恩恵は確認できませんでしたが、3D V-Cache搭載CCDの動作クロック向上により、ゲーミング性能ではRyzen 9 9950X3Dを大きく上回ることが期待されます。
ただし、AMD自身も過去にデュアル3D V-Cache化の効果は限定的と述べていたため、キャッシュ容量の増加がどのようなワークロードで真価を発揮するのか、今後の検証に注目が集まります。
今回、Ryzen 9 9950X3D2のベンチマークも登場したと言うことで同CPUとRyzen 7 9850X3Dの2モデルがCES 2026で発表され、2026年第一四半期中までには発売される可能性はかなり高まったと言えます。ただ、このRyzen 9 9950X3D2はデュアル3D V-Cacheと言うロマン仕様であるものの、ベンチマーク上では差はありません。また、ゲーミングでもデュアルCCDを使うとCCD間を跨ぐためパフォーマンスが落ちてしまいます。そのため、デュアル3D V-Cacheがどういった場面でその性能が活用できるのか気になるところです。



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