Micronは2026年度第1四半期決算において、DRAMおよびNAND分野で過去最高の売上高136.4億ドル(前年同期比57%増)を記録したことを発表しました。一方で、同社CEOのSanjay Mehrotra氏はDRAMの供給制約が2026年以降も継続し、主要顧客の需要に対して「半分から3分の2」程度しか供給できない状況にあると警告しています。
Micronの決算発表でDRAMとNANDは過去最高の売上高を記録
今回の決算発表は、Micronがコンシューマー向けブランド「Crucial」の廃止を発表して以降、初の決算報告となります。売上高の大幅増加は、AIデータセンター向け需要の拡大と価格上昇が主な要因とのことです。
Mehrotra氏は「供給制約は2026年以降も継続する見通し」と述べ、複数年にわたる供給契約の締結に向けて取り組んでいることを明らかにしました。顧客企業は長期的なメモリ供給へのアクセスを懸念しており、複数年契約の獲得を求めて列をなしている状況とのことです。
DDR5不足の原因はHBMと明言。2027年以降の新工場稼働後も需要を満足できない見通し
DDR5不足の主な原因については、OpenAIの買い占め、HBM、パニック買いなど様々な説が出ています。これに対しMicronは、現在のDDR5不足の要因はHBMの急成長にあると明言しました。
同社によると、HBMの製造にはDDR5の約3倍のウエハー面積が必要となるため、DDR5のような汎用DRAM向けの生産能力が圧迫されているとのことです。HBMは汎用DRAMより高い利益率で販売できることから、Micronを含む各社が注力している分野です。今後もHBM需要が高止まりすることから、汎用DRAMの供給は逼迫し続けることが予想されます。
また、Micronは製造能力拡大に向けて米国内などで新工場建設を進めています。ただし、2027年から新工場が順次稼働したとしても、主要顧客の需要に対して「半分から3分の2」程度しか対応できない見通しです。このDRAM不足は2026年以降も続き、場合によっては2027年以降も継続する可能性があります。
Micronの決算は予想通り、DRAMやNANDの需要増により57%の増収を記録しました。しかし、DRAMの供給状況については楽観視できない見通しであることも明らかになっています。
特に注目すべきはDRAM不足の原因です。MicronはHBM需要の急騰がDDR5不足を引き起こしていると明言しました。
HBMの搭載容量は今後も増加の一途をたどります。NVIDIAは2025年に最大288GBのHBM3eを搭載するBlackwell Ultraを発売予定で、続いて2026年には288GBのHBM4を搭載するRubin、2027年には1TBのHBM4を搭載するRubin Ultraが控えています。このようにHBM容量が増え続ける以上、DDR5などの需給や価格はHBM需要に左右される状況が続くと考えられ、楽観視できる状態ではありません。



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