Microsoftは2025年12月に配信したWindows 11向けアップデート(KB5072033)において、Microsoft Storeアプリの管理を担う「AppX Deployment Service(Appxsvc)」のスタートアップ設定を自動起動に変更したことが明らかになりました。このサービスは従来から一部のユーザー環境でCPUやメモリ、ディスクを大量に消費する問題が報告されており、低スペックPCでの影響が懸念されています。
AppX Deployment Service(Appxsvc)が「自動起動」に変更
Microsoftは12月15日、Windows 11 25H2および24H2向けに配信した12月の非セキュリティアップデート(KB5072033)のリリースノートを更新し、システムコンポーネントの変更を明らかにしました。
[システム コンポーネント]AppX Deployment Service (Appxsvc) は、一部の分離されたシナリオで信頼性を向上させるために、自動スタートアップの種類に移行しました。
2025 年 12 月 9 日 — KB5072033 (OS ビルド 26200.7462 および 26100.7462)
リリースノートによると、AppX Deployment Service(Appxsvc)のスタートアップの種類が「手動(トリガー)」から「自動」に変更されたとのことです。Microsoftはこの変更理由について「一部の特定のシナリオにおける信頼性向上のため」としています。
AppxsvcはメモリーやCPU消費などパフォーマンス低下に影響も
Appxsvcは、Microsoft Storeアプリのインストールや更新を管理するWindows標準のシステムサービスです。ただし、CPU使用率の異常な上昇やメモリの大量消費、ディスクI/Oの増加など、パフォーマンス低下につながる挙動が以前から報告されていました。
幸い、このAppxsvcの起動タイミングは従来「手動(トリガー)」に設定されていたため、Microsoft Storeへアクセスしない限り起動しない仕組みでした。
しかし、今回「自動」に変更されたことで、システム起動時から常にバックグラウンドで動作するようになります。そのため、低スペックのPCや、ゲーミングなどシステム性能をフルに活用したい場面では、不意にパフォーマンス低下の影響を受ける可能性があります。
変更の背景はMicrosoft Storeのアプリ更新方法の変更
Microsoftがこの変更を実施した背景には、同社が最近発表したMicrosoft Storeアプリの更新方式の変更があると見られています。
Microsoftは今後、Microsoft Storeアプリの更新をWindows Update経由で配信する方針を明らかにしています。これにより、Store関連のサービスを常時稼働させておく必要性が高まっていると考えられます。Appxsvcの起動タイミングが、ユーザーの利用に関わらず常駐する方式へ変更されたのは、こうした背景によるものと見られています。
なお、MicrosoftはAppxsvcを強制的に無効化すると、Microsoft Storeやストアアプリが正常に動作しなくなる可能性があると警告しています。ただし、Microsoft Storeを普段使用していない場合は特に問題が起きないと考えられるため、パフォーマンスを最優先にしたい場合は無効化を検討してもよいでしょう。
AppxsvcはMicrosoft Storeのアプリに関係するサービスです。たとえMicrosoft Storeからアプリをダウンロードしていなくても、Windows 11に標準でインストールされているアプリで使用されている可能性があります。そのため、無効化すると標準アプリに不具合が出る可能性がある点には注意が必要です。
ただし、従来は手動起動方式だったことを考えると、無効化しても致命的な不具合が発生する可能性は低いと考えられます。
パフォーマンスを重視する場合は、タスクバーの検索ボックスで「サービス」と検索し、そこからAppX Deployment Service(Appxsvc)を無効化してみるのも一つの方法です。



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