Intelが開発中の次世代CPU「Panther Lake」は、まもなく開催されるCES 2026で正式発表される予定です。その発表を前に、サンプル品を用いたと見られるベンチマーク結果が登場しました。現行のArrow Lakeに対して高いスコアを記録しています。
Intel Panther Lake最上位モデル「Core Ultra X9 388H」のベンチマークが登場
Panther Lakeは2026年1月6日、CES 2026の場で正式発表されることがすでに明らかにされています。今回、このラインアップの最上位モデルとなる「Core Ultra X9 388H」のGeekbenchベンチマーク結果が登場しました。
Core Ultra X9 388Hのスペック
| スペック | Core Ultra X9 388H | Core Ultra 9 285H |
|---|---|---|
| コア数 | 4P+8E+4LPE (16コア) | 6P+8E+2LPE (16コア) |
| 最大クロック | 5.1 GHz | 5.4 GHz |
| 内蔵GPU | Arc B390 (Xe3 12コア) | Arc 140T (Xe 8コア) |
Core Ultra X9 388Hは、Panther Lakeから新たに投入される「Core Ultra X」シリーズの製品です。CPUコアは4P+8E+4LPEの合計16コア構成となっています。
CPUコア数の合計は先代のCore Ultra 9 285Hと同じ16コアですが、コア構成は大きく変更されました。P-Core(高性能コア)が6コアから4コアに減少し、LPE-Core(低消費電力高効率コア)が2コアから4コアに増加しています。
一見するとスペックダウンしたように見えますが、実質的には性能向上といえます。Panther LakeからはLPE-CoreもWindows 11上で認識されるようになり、アプリケーション側からも活用できるようになったためです。

なお、今回のGeekbenchではスコア計測の対象外ですが、Core Ultra X9 388Hの内蔵GPUにも注目です。Xe3(Arc Celestial)アーキテクチャベースのGPUコアを合計12基搭載しており、すでにノートPC向けGeForce RTX 3050に相当するベンチマーク結果も報告されています。内蔵GPU性能も大幅に強化されているといえるでしょう。
シングルコアはStrix Halo並み。マルチコアはArrow Lakeを21%上回る

Core Ultra X9 388HのGeekbenchベンチマークでは、シングルコアが3,057ポイント、マルチコアが17,687ポイントを記録しました。
| CPU | コア構成 | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|---|
| Ryzen 7 9800X3D | 8コア | 3,335 | 18,336 |
| Core Ultra 9 275HX | 24コア | 2,848 | 17,922 |
| ★Core Ultra X9 388H | 16コア | 3,057 | 17,687 |
| Ryzen AI Max+ 395 | 16コア | 2,792 | 17,669 |
| Core Ultra 9 285H | 16コア | 2,604 | 14,796 |
| Ryzen AI 9 HX 370 | 12コア | 2,591 | 13,321 |
| Core Ultra 9 185H | 16コア | 2,229 | 11,915 |
シングルコア性能では、前世代のCore Ultra 9 285H(2,604ポイント)から約15%向上しています。AMDのフラッグシップモバイルチップであるRyzen AI Max+ 395(2,792ポイント)を上回る結果となりました。
マルチコア性能も大きく向上しています。Core Ultra 9 285Hの14,796ポイントに対して約21%の性能向上を達成しました。この向上は、アーキテクチャの刷新に加え、LPE-Coreが新たにOS側から活用可能になったことが要因と見られています。
電力効率の面でも注目すべき点があります。Core Ultra X9 388Hの最大消費電力は45Wです。一方、Ryzen AI Max+ 395はデフォルトで55W、動作範囲は45W〜120Wとなっており、Core Ultra X9 388Hは大幅に消費電力を抑えています。
また、動作クロックもCore Ultra 9 285Hの最大5.4 GHzから5.1 GHzに抑えられています。より低い消費電力と動作クロックで同等以上のシングルコア・マルチコア性能を実現しており、Intel 18Aプロセスとアーキテクチャ改良による電力効率の高さが際立つ結果となりました。
Intel Panther Lakeについては、現行Arrow Lakeに対して大幅な性能向上は見込めないのではないかという懸念もありました。しかし、ふたを開けてみると、少なくともGeekbenchの結果を見る限り、さまざまな面でArrow Lakeを大きく上回るCPUに仕上がっていることがわかります。
特に目を見張るのは電力効率です。動作クロックがArrow Lakeの5.4 GHzからPanther Lakeでは5.1 GHzに下がっているにもかかわらず、シングルコア・マルチコアともに高いスコアを記録しています。アーキテクチャの刷新とIntel 18Aへのプロセス移行の効果が大きく表れているといえるでしょう。製造プロセスとしてもかなり優秀な仕上がりです。
なお、今回のGeekbenchは極めて短時間の性能を計測するベンチマークです。電力効率や発熱の影響を受けやすいCinebenchや動画エンコードなどでも良好な性能を出せるのか、またノートPC向けで重要なバッテリー持続時間がArrow Lakeに対してどれだけ改善されているのか、今後の検証結果に注目です。



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