AMDは2026年1月のCES 2026にて、Ryzen 7 9800X3DのリフレッシュモデルにあたるRyzen 7 9850X3Dを正式発表すると見られています。今回、このCPUの消費電力に関する情報が出荷記録から明らかになりました。
Ryzen 7 9850X3Dの出荷記録が登場。発売間近に
AMDはRyzen 7 9800X3DのリフレッシュモデルとしてRyzen 7 9850X3DをCES 2026で正式発表すると見られています。直近では同社の公式サポートページに一時的に「Ryzen 7 9850X3D」が出現するなど、発売に向けて着々と準備が進められています。
そんな同CPUですが、通関手続きなどに必要な出荷明細書を収集するNBDに登録され、消費電力に関するスペック情報が判明しました。
Ryzen 7 9850X3Dは動作クロック向上でもTDP 120Wに据え置き
Ryzen 7 9850X3Dはリーク情報によると動作クロックなどが向上する予定です。現行のRyzen 7 9800X3Dのブーストクロック5.2 GHzに対して、最大5.6 GHzに引き上げられるといわれています。そのため、消費電力についても引き上げられる懸念がありました。

しかし、NBDに登録された情報によると、Ryzen 7 9850X3DのTDPは120Wに据え置かれる予定です。Ryzen 7 9800X3Dに対して基本的な仕様は大きく変わらず、リフレッシュモデルとして電力効率が若干向上したCPUになるようです。
| スペック | Ryzen 7 9850X3D | Ryzen 7 9800X3D |
|---|---|---|
| アーキテクチャー | Zen 5 | Zen 5 |
| コア数/スレッド数 | 8コア/16スレッド | 8コア/16スレッド |
| ベースクロック | 4.7 GHz | 4.7 GHz |
| ブーストクロック | 5.6 GHz | 5.2 GHz |
| L3キャッシュ | 96 MB | 96 MB |
| TDP | 120W | 120W |
Ryzen 7 9850X3Dは新しいステッピングのCCD(Core Complex Die:CPUコアを搭載するチップレット)を採用することで、高いブーストクロックを実現しているとのことです。これにより、一般的なアプリケーションに加え、ゲーミング性能ではRyzen 7 9800X3Dを5〜10%程度上回ることが予想されています。
発売時期は「問題がなければ」2026年第1四半期
Ryzen 7 9850X3Dの発売時期については、現時点で確定的な情報は出ていません。ただし、CES 2026で正式発表されることは確実視されており、例年通りであれば2026年第1四半期に登場する可能性が高いです。
しかし、懸念点もあります。現在の自作PC市場はメモリー不足により、マザーボードの販売台数が前年同期比で50%以上減少するなど厳しい状況にあります。発売してもほとんど売れないという懸念があるほか、CPUもAI需要により需給がタイトな状態です。そのため、発売が2026年第1四半期以降にずれ込む可能性も否定できません。
Ryzen 7 9850X3Dはまもなく正式発表ということで、すでに量産品に近い試作品(レビュー用)などが輸出されているようです。少なくともCES 2026で正式発表が行われる可能性は高いといえます。
消費電力については、Ryzen 9 9950X3Dが170Wから200Wに引き上げられるといわれていたため、Ryzen 7 9850X3Dも120Wから150Wなどに上がる懸念がありました。しかし据え置きということで、電力を過剰に盛って動作クロックを引き上げたというより、設計の改良によって性能向上を実現した形のようです。
なお、Ryzen 7 9850X3Dの発売時期は2026年第1四半期中、つまり遅くとも2026年3月末までと考えられます。ただし、DDR5不足でコンシューマー向け市場は冷え込んでいる状況です。そのため、CES 2026で正式発表だけを行い、発売が春以降に遅れる可能性も否定できません。今後の具体的な発売時期に注目です。


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