ソニーのPlayStation 5(PS5)では放熱性向上のため、従来使われていたサーマルペーストの代わりに液体金属が用いられています。しかし、この液体金属はサーマルペーストより粘度が低いことから、縦置きで長く使用していると漏れるなどの不具合が報告されていました。2025年11月に発売された廉価版PS5では、この問題への対策が盛り込まれたようです。
廉価版PS5には従来型PS5で問題になっていた液体金属の漏れ問題への対策が導入
PS5ではチップセットとヒートシンクの間に塗布される熱伝導材として液体金属が用いられており、これによりコンパクトながらも200W近いチップセットを冷却できる性能を実現しています。
しかし、この液体金属は名前の通り液体のような低粘度であることから、PS5を縦置きにすると重力の影響で液体金属がチップセット下部に偏り、オーバーヒートなどが発生することが一部で報告されています。
こうした問題への対策として、ソニーはPS5 Proにてヒートシンク側に複数の溝を設けることを先行して導入していました。そして2025年11月に日本で発売された廉価版PS5にあたるCFI-2100/CFI-2200モデルでも、この溝が設けられたヒートシンクが搭載されているようです。
PS5 CFI-2100/2200で溝付のヒートシンクを搭載
SSD容量が1TBから825GBに減らされたCFI-2100、左記に対してさらに日本語限定版にしたCFI-2200は共に2025年11月に発売されたPS5デジタルエディションの年次改良版にあたるモデルです。このモデルではSSD容量の削減のほか、ヒートシンクやマザーボードの構造簡素化など主にコストダウン仕様を盛り込んだモデルになっています。
What’s more Sony implemented a solution in the Slim that was expected to be a hallmark of the Premium console, the PlayStation Pro — the new version is free from the metal leak issue that affected older PS5 FAT/ OG and Slim CFI2016 from 2023. They optimized the heatsink core for… pic.twitter.com/iHfvE0y7kd
— modyfikatorcasper (@Modyfikator89) November 30, 2025
しかし、これらコストダウン要素以外に、液体金属が接触するヒートシンク側に新たに溝が設けられていることを、海外のコンソール分解・修理専門家である@Modyfikator89氏が報告しています。
この溝により、縦置きで長期間使っていても液体金属が重力で偏るという現象を防ぐことが可能になるとのことで、長期使用時の信頼性が大きく向上することが期待できそうです。
なお、ソニーは縦置きで液体金属が偏るという不具合は無いとしています。しかし、このようにPS5 ProやPS5(CFI-2100/2200)でこうした変更を盛り込んでいることから、不具合の件数としては一定数確認されていると考えられます。そのため、もし旧型PS5(CFI-1000系/2000)などを持っているユーザーは、できれば横置きで運用した方が長く使えるかもしれません。
PS5のCFI-2100/2200は主にコストダウンに焦点を当てたモデルですが、そこにわざわざコストがかかるはずのヒートシンクへの溝を追加していることから、液体金属が偏るという不具合は一定頻度で発生していると言えそうです。そのため、上述の通り旧型PS5を持っているユーザーは横置きで使用した方が安心です。また、ソニー側ももし問題を認識しているのであれば、延長保証などの対策を講じてほしいところです。



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