クラウドサービスプロバイダーがメモリーメーカーに2年の長期契約を交渉中。メモリー不足は2028年まで続く可能性も

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AIの爆発的な需要増加により、メモリ市場が史上例を見ない供給不足に陥っています。業界関係者によると、サムスン、SK Hynix、Micronなど主要メモリメーカーの2026年生産分はほぼ予約で埋まっています。さらに、MicrosoftやGoogle、Amazonなど主要なクラウドサービスプロバイダーがメモリメーカー大手に対して1年を超える長期契約を交渉していることが明らかになりました。

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DDR5の2026年供給分は完売。交渉の土俵は2027年から2028年分にシフト

DDR5をはじめとするDRAM製品は、MicrosoftやGoogle、Amazonなどクラウドサービスプロバイダー(CSP)による需要が爆発的な急騰を見せており、供給が追いつかない状況になっています。CSP各社はAI需要を取り込み収益を上げるためにデータセンターの新規建設を進めており、すでに2026年に供給されるDRAMはすべて埋まる状況になっています。

そのため、CSP各社はさらにその先である2027年以降のDRAM供給確保に走り始めており、このDRAM不足は今後数年間続く可能性が出てきています。

CSP大手は前払いや設備購入の支援まで。CSP以外は門前払い?

CSP大手はDRAM確保に向けてサムスンやSK Hynix、MicronなどDRAMメーカー大手と交渉を進めており、2027年以降の供給量確保を目指しています。また、一部の大手CSPはDRAMメーカーに対して2027年のみならず2028年にまで達する長期契約を目指しているとのことです。この長期契約獲得に向けて、資金力のあるCSPは通常より高い契約価格の支払いに加え、前払い、設備導入費用の負担までを交渉材料として提示しているとのことです。

実際に、メモリモジュールメーカーADATAの陳立白董事長は「現在、すべてのCSP大手が1年以上の契約を結ぼうとしている」と証言しています。

ただ、1年を超える長期契約を獲得できるのは多くても2社に限られるとのことで、多くのCSPは1年契約を結ぶしかないほか、CSP以外の契約者は長期契約自体が不可能な状況になっているようです。

メモリー不足は今後も続く可能性。特にコンシューマー向けは絶望的?

メモリメーカー各社の生産計画を見ると、SK Hynixは2026年にNANDウエハの生産能力拡大計画はなく、HBMとDRAMへの投資に集中する方針です。清州のM15X新工場はHBM専用工場として計画されており、2026年初頭から稼働開始予定となっています。

一方、サムスンとMicronについては、新工場の完成が2027年下半期以降となる見込みです。設備設置や量産開始までの期間を考慮すると、2026年はもちろん2027年も供給力強化は限定的となります。

ADATAの陳立白董事長は「長期契約は理想だが、90%の企業は獲得できない」と述べており、関係が良好な企業でも四半期ごとの交渉、一般企業は毎月の交渉となり、1ヶ月後の供給状況すら確定できない状況が続く可能性があるとしています。

なお、DRAMメーカー側は現在のスポット価格は「異常に高い」水準にあり、将来的に調整される可能性はあるものの、契約価格はスポット価格を大きく下回っています。そのため、一部のメモリー価格は調整される可能性があるものの、基本的にはすべての製品で値上がりが予想されており今後6〜9ヶ月でさらに50%の値上げ余地があると見られています。

コメント・考察

今回のDRAM供給不足は、Microsoft、Google、AmazonなどAI向けサービスを提供する大手CSPによるデータセンター建設ラッシュが主要因となっています。特筆すべきは、これらCSPが持つ圧倒的な資金力を背景に、通常より高い契約価格に加え、前払いや設備導入費用の負担といった異例の条件を提示し、2026年から2028年にかけてのDRAM供給をほぼ独占的に確保しようとしている点です。

ADATAの陳立白董事長が「90%の企業は長期契約を獲得できない」と述べているように、DRAMメーカーにとってはCSP向け供給を優先することが収益面で合理的な判断となっています。その結果、コンシューマー向けDRAMは「長期契約で確保されなかった余剰分」という位置づけに変わりつつあります。

従来のDRAM市場は需給バランスによる景気循環型の価格変動が特徴でしたが、今回の動きは「受注を確保してから増産する」という体質への転換を示唆しています。サムスンやMicronの新工場稼働が2027年下半期以降となる中、今後6〜9ヶ月でさらに50%の値上げ余地があるとされており、コンシューマー向けDDR5やそれを搭載するPC、スマートフォンなどの価格上昇は避けられない状況が続きそうです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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