Intelは2024年に発売したArrow Lake世代のCore Ultra 200Sシリーズについて、性能向上を含むArrow Lake Refreshを2026年1月開催のCES 2026で正式発表する予定です。今回、このArrow Lake RefreshがサポートするDDR5メモリーの速度が、現行Arrow Lakeに対して大きく引き上げられることが明らかになりました。
Arrow Lake RefreshはDDR5-7200MT/sまで対応へ
Intelは、Arrow Lake Refreshを2026年1月開催のCES 2026で正式発表すると言われています。これに先立ち、IntelがArrow Lakeシリーズの仕様などをまとめた公式データシートを公開し、その中で同CPUの対応メモリー速度が大幅に引き上げられることが明らかになりました。

Intelのデータシートによると、現行のArrow Lake-S製品はCUDIMM(クロックドアンバッファードDIMM)の場合、最大6400MT/sまでの速度に対応しています。今回公開されたデータシートには新たにArrow Lake-S Refreshに関するスペックが追記されており、CUDIMMの場合は最大7200MT/sまでサポートすることが明らかにされています。
これは現行Arrow Lake-Sに対して12.5%の向上となります。
なお、一般的なUDIMM規格では5600MT/s、CSODIMM規格では6400MT/sと、CUDIMM以外の対応速度は現行世代から据え置きとなっています。また、2DPC構成時のメモリ速度にも変更はありません。
メモリーコントローラー周りが改良でゲーミング性能が向上?
Arrow Lake-Sは先代のRaptor Lake Refreshに対して省電力性能が大きく向上したものの、大多数のコンシューマーが求めるゲーミング性能はイマイチでした。競合のAMD Ryzen 7 9800X3Dや同社のCore i9-14900Kにも劣る性能が見られるなど、評価はあまり芳しくありませんでした。
この低いゲーミング性能の原因は明確にはなっていません。推察としては、Arrow LakeのRing Bus(CPUコア間を接続するリング状バス)やDie to Die(D2D、チップレット間接続)の構造によるレイテンシ増加などが挙げられています。また、先代のRaptor Lakeで発生した不具合対策として、これらuncore部分の動作クロックが引き下げられていることも要因と見られています。
しかし、今回DDR5-7200MT/sまで対応することから、Ring BusやD2Dの動作速度向上なども行われると考えられます。これにより、競合に対して劣っていたゲーミング性能が若干向上することが期待されます。
ただし、Arrow Lake Refreshのアーキテクチャーは現行Arrow Lake-Sを完全に踏襲しています。コア数もCore Ultra 7と5でE-Coreが4コア増えるのみで、Core Ultra 9は据え置きです。CPU側に入る変更点は動作クロックが100MHz向上するなど小さなものにとどまっています。そのため、Ryzen 7 9800X3Dに迫るゲーミング性能を手に入れるなどのサプライズがなければ、市場の反応は限定的になる可能性が高いと見られています。
Arrow Lake Refreshでは対応メモリー速度が向上するというリークはありましたが、実際に最大7200MT/sまで対応するなど、比較的大きな高速化が行われています。
ただ、これだけで課題だったゲーミング性能が向上するとは言い切れません。しかし、高速メモリー対応と合わせてRing BusやD2Dの動作速度向上が加えられることで、少なくとも現行Arrow Lakeに対して明確な性能差を示すことができるかもしれません。
ただし、Arrow Lake Refreshが発売されても元々の評価が低いため、Ryzen 7 9800X3Dに迫るゲーミング性能が記録されたり、価格がかなり安く設定されるなど、何かしらのサプライズを消費者に示せなければ存在感を示すことは難しいでしょう。2026年もAMDに市場シェアを取られる結果となりそうです。そのため、性能面でサプライズが見られるのかなど、期待したいところです。



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