サムスンがNAND生産ラインをDRAMへ転換。SSDの供給不足も加速?

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DDR5などに必要なDRAM、そしてSSDに必要なNANDフラッシュは、近年のAIブームによるデータセンター建設ラッシュにより供給量が不足しており、既に大幅な値上がりによる混乱が生じています。こうした中、世界最大手のフラッシュ半導体メーカーであるサムスンが、同社の生産ラインの一部をNAND生産からDRAM生産へ転換することが明らかになりました。

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サムスンはDRAM需要が供給の3倍に達すると見通す

DRAMやNANDフラッシュは、AIデータセンター建設ラッシュを背景に需要が急拡大しています。特にこの中でも様々な製品に必須となるDRAMについて、業界最大手のサムスンは今後も需要が大きく増加し、価格も継続的に上昇すると予想しているようです。

実際にその需要は凄まじいようで、DRAM需要はサムスン、SK Hynix、Micronの大手3社の供給能力の3倍にも達している状況です。特にサムスンは最大手で最大の供給量を誇ることから、96GBや128GBのDDR5など大容量サーバー用DRAMの価格を70%引き上げる提示を行っているようです。

また、このような高い需要、そして高くても売れるという状況を背景に、サムスンはDRAMとNANDをハイブリッド生産する一部ラインをDRAM主体へ転換することを計画しているようです。

サムスンがDRAMとNANDのハイブリッドラインをDRAM主体に転換

サムスンは現在、平沢1工場(P1)、3工場(P3)、華城キャンパスでDRAMとNANDフラッシュを生産しています。このうちP1と華城キャンパスは、DRAMとNANDフラッシュをハイブリッド生産するラインとなっています。

しかし、サムスンではDRAMの方が需要が高く、高い利益を出せることから、これらの工場でNANDフラッシュ生産設備を縮小し、DRAM生産設備を拡充する形で生産能力の増強を進めるようです。

また、現在工事が進行中のP4も、最先端の10nm級第6世代(1c)DRAM生産施設として来年から稼働を開始する予定です。さらに、当初ファウンドリ生産設備が入る計画だったP4の第2区域でもDRAMを生産する案を検討するなど、DRAM生産規模を大きく拡大させる見通しです。

なお、これらの設備は早ければ来年上半期に完成予定で、既存のハイブリッドラインであるP1と華城キャンパスではDRAM比率が高まり、P4などには新規DRAM生産ラインが導入され、生産能力が大幅に増加する見込みです。

なお、この変更で削減されるNANDフラッシュの生産は、中国の西安工場で増産することで対応すると見られています。

NANDフラッシュは供給業者が多いため問題ない?

業界関係者によると「NANDフラッシュは供給業者が多いが、DRAMはサムスン、SK Hynix、Micronの3社がほぼ全てを占めている」とし、「収益性が高いDRAM生産を増やせば利益も共に増加する構造」とのことで、サムスンがDRAM供給拡大に走る理由を説明しています。

なお、NANDフラッシュは供給業者も多いとのことですが、大手は上記3社に加え、KIOXIAとSanDisk(Western Digital傘下)であり、現時点では供給量を大幅に拡大する計画はないとされています。そのため、サムスンがこのままNANDフラッシュの供給を減らし、KIOXIAなど他のメーカーも供給拡大に踏み切らなかった場合、次はNANDフラッシュが供給不足に陥る可能性があります。

コメント・考察

サムスンは長年、フラッシュ半導体を含むファウンドリー事業で大きな利益を上げられていませんでしたが、ここに来て最大のチャンス到来ということで、収益拡大に向けて一気にDRAM重視の姿勢に切り替えるようです。

ただ、この変更により懸念されるのがNANDフラッシュの需給状態です。KIOXIAなど各社が収益確保に向けて供給量を増やさない方針を貫いているため、サムスンの供給減少により需給バランスが崩れる可能性も懸念されます。そのため、SSDなどの価格動向もDRAM同様に注視する必要がありそうです。

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この記事を書いた人

Kazukiのアバター Kazuki 編集兼運営者

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、経済などの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。

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