グラフィックカードを巡ってはここ最近話題になっているDRAMの需要過多による値上げにより製造コストの上昇が懸念されており、近いうちに値上げが実施されることが懸念されていましたが、AMDはグラフィックカードを製造するAIBに対して価格引き上げを正式に通達したようです。
AMDがRadeon RX 9000シリーズ含むすべてのGPU製品を値上げへ
グラフィックカードを巡っては最新世代のRadeon RX 9000シリーズなどは発売から9か月程度が経過し、価格も発売当初に比べて20%程度下がるなど比較的手ごろに入手できるようになってきています。

しかし、2025年秋以降に話題に挙がり始めたデータセンター需要を背景とするDRAMの需給状態の悪化によりGDDR6などグラフィックカード製造に必要なコンポーネント価格が大きく上昇しており、これが原因でNVIDIAやAMDのグラフィックカードが2026年初頭にも値上げされるのではないかと懸念されていました。しかし、AMDに至ってはこの懸念よりかなり早い2025年11月の段階で各社AIBへ値上げを通知し、近いうちに販売価格の値上げされる可能性が急浮上しました。
GDDR6などメモリー価格が約3倍に値上がり。次回出荷分からAMDは値上げへ
グラフィックカードの製造は主にGPU本体とGDDR6がセットでASRockやASUSなど最終製品となるグラフィックカードを製造するAIBに納品され、されらが基板やクーラーが実装されて最終製品として量販店に並びます。そんなグラフィックカードですが、博板堂に投稿されたリーク情報によると、AMDは調達するメモリ価格の大幅な上昇により、次回分のGPUとGDDR6出荷分より、AIB各社への供給価格を引き上げることを通知したとのことです。
この値上げの幅については明らかにされていませんが、GDDR6のスポット価格は値上がり前は1GBあたり2.5ドルほど(約400円)で取引されていました。しかし、2025年11月時点の価格は7.5ドル(約1100円)にまで値上がりしています。
そのため、Radeon RX 9060 XTやRX 9070 XTなど16GBのGDDR6を搭載する場合はスポット価格ベースで6,400円から17,600円と2.75倍に値上がりすることになります。ただ、AMDなど大口顧客はDRAMメーカーとの契約価格が割り引かれることが多いですが、それでも大容量なVRAMを持つ製品では供給価格が当初より5000円程度値上がりしても不思議ではないと考えられます。
NVIDIAも値上げする可能性大
今回のリークはAMD製グラフィックカードだけの情報でしたが、NVIDIA製グラフィックカードではより高価なGDDR7を使っているため、AMD以上に値上がり可能性があります。そのため、今回のAMDの値上げ通知を受けて、NVIDIA側も近いうちにAIBへ値上げの通知を実施する可能性は高いと言えそうです。
DRAM価格高騰によるグラフィックカードの値上がりは近いうちに発生する事象として懸念されていたものの、NVIDIAやAMD双方共に長期契約をしていることから価格がすぐに変わることは無いのではないと言う楽観的な見方もありました。
しかし、今回AMDがAIBへ値上げを通知したことでDRAM価格高騰によるグラフィックカード値上がりは現実のものになりつつあると言えます。なお、現時点でどのぐらい値上がりするのかは確定的ではありませんが、グラフィックカードを構成する部品の中でGDDR6は2番目に高いほか、その値上がり率もスポット価格を見る限り大きく上がっていることから上述の通り数千円からハイエンド製品では1万円ほど値上がりする可能性はありそうです。
そのため、もしグラフィックカードの買い替えを検討している人は早めに購入した方が後々後悔が少ないかもしれません。



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