DDR5などのメモリーは、データセンター特需によるDRAM不足が発端で各社が大幅な値上げに踏み切っており、価格動向が極めて不安定な製品です。今回は2025年11月第3週時点でのDDR5メモリーの価格および相場動向を解説します。
DDR5メモリの現況:2025年11月17日週(第3週)
DDR5メモリーについては、DRAM需要の急騰ならびに供給面での制約を受けていることから、サムスンやSK Hynix、Micronなど各DRAMメーカーは契約価格の値上げなどを実施しています。また、一部メーカーはパニック買いに走るなどカオスな状態になっています。
そんなDRAM市場に大きく影響されるDDR5について、PCパーツ向けの単品製品でも価格状況が不安定になっています。
DDR5 メモリー全体の値動き
DDR5全体(16GB/32GB/64GBメモリー)の価格推移は、1週間前に対して4ポイントの値上がりを記録するなど、全体的に価格が上昇傾向にあるようです。ただ、現時点では1週間のデータしかありませんが、11月13日をピークに一部容量の製品では値段が下がり始めています。
ただ、平均価格を見ると高価格帯製品の売行きが鈍化し、値上がりが止まり始めている一方で、標準的なモデルの価格が高くなっているなどの傾向が確認できます。
なお、DDR5などのメモリー価格は9月頃からじわじわ上がっています。しかし、当集計は2025年11月10日が基準日となっているため、既に高止まりしている水準に達しています。そのため、100を下回ったとしても徐々に適正水準に戻ってきているだけという点には注意が必要です。
DDR5 16GB x2 (32GB)メモリーの値動き
コンシューマー向けとして最適な容量である16GB×2枚構成で合計32GBとなるメモリーでは、底堅い需要があるのか、1週間で5.4ポイントと幅広い製品で値上げが行われていることが明らかになっています。特にDDR5全体平均では下落し始めているにもかかわらず、16GB×2だけ高値で推移していることから、需給状態次第では同容量のメモリーは今後も値上げが予想されそうです。
販売価格下位75%を対象にした平均販売価格を算出すると、11月10日時点では3.8万円でしたが、現在は4.2万円となっています。このことから、価格が非常に高価で回転率が悪いハイエンドなメモリーは価格が据え置かれている一方で、回転率が高く一般ユーザー向けのメモリー価格は大きく値上がりしている状態になっています。
販売価格下位75%を対象にする理由
メモリーではオーバークロックに特化したモデルなど一般ユーザー向けではない高すぎるモデルも存在します。そのような製品は代表例とはいえないため、ここでは販売価格下位75%までを対象に平均価格を算出しています。
DDR5 32GB x2 (64GB)メモリーの値動き
32GB×2で合計64GBとなるDDR5メモリーの構成はハイエンドPCを中心に人気ですが、同製品に関しては集計開始日に対してわずか5日間で6.7ポイントも上昇するなど異常事態ともいえる状態になっています。ただ、その後は価格が下落したものの、それでも1週間の間に3.9ポイントの上昇が記録されています。
販売価格下位75%を対象にした平均販売価格は、2025年11月17日時点で約8.3万円となっています。なお、こちらも指数とは連動しない動きを示しているため、ハイエンドメモリーが若干値下がりしつつも、一般ユーザーが求める性能や価格帯のモデルは価格が高止まりしている状況が確認できます。
DDR5 64GB x2 (128GB)メモリーの値動き
DDR5 64GB×2(合計128GB)は一般ユーザーにはやや過剰なスペックであり、価格も非常に高価なことからあまり人気がありません。また、販売されている製品数も非常に少ないです。
そのためなのか、指数値は104.3をピークに下落気味で、現在は基準日の100を3%下回る97ポイントで推移しています。
64GB×2枚の128GBという構成は一般ユーザーでは手が届かない価格帯になっており、下位75%のみ抽出しても11月10日時点で既に約17.3万円という平均価格を示していました。ただ、週末を挟むと価格は約16.8万円に値下がりしていますが、そもそも販売されている製品数が少ないため、平均価格で見ると非常に不安定な動きをしています。
現時点でまだ1週間しか価格などのデータは収集できていないため短期的なトレンドしか見えませんが、標準的なモデルの価格はジワジワ上がることが確認できるなど状況は悪い方向に向ているようにも見えます。など、今後も週1単位でメモリー価格を追跡するほか、グラフィックカードやCPU版も作っていますので、価格動向が気になる方は定期的にチェックしてください。


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