CPU市場における各社のシェアをまとめるMercury Researchによると、2025年第3四半期においてx86プロセッサ市場全体でAMDが25.6%ものシェアを獲得し、初めて25%の大台を超えたことが明らかになりました。
また、デスクトップ向け市場に限定すると33%を超えるなど、シェアを急拡大させていることも明らかになりました。
x86 CPU市場でAMDのシェアがさらに拡大。
Mercury Researchの調査によると、クライアントおよびサーバー向けx86プロセッサ全体において、AMDのシェアは前四半期の24.2%から25.6%へと1.4ポイント上昇しました。前年同期の24%からも1.6ポイント増加しています。
特に、デスクトップ向けやサーバー向けCPUでAMDのシェアの伸びは大きく、x86 CPU全体でのシェア拡大に大きく寄与しています。
なお、AMDのシェアはPlayStation 5やSteamDeckなど組み込み機器やゲーム機向けSoCを含めた場合は30.9%に達します。これは前年同期の25%から5.9ポイントもの大幅な増加を記録しており、第3四半期におけるゲーム機用SoCの出荷増加も寄与していると見られます。
デスクトップ市場で過去最高の33.6%を達成
デスクトップPC市場では、AMDの好調がより鮮明になっています。第3四半期のシェアは33.6%に達し、前四半期の32.2%から1.4ポイント上昇しました。前年同期からは5.2ポイントもの大幅な伸びを示しています。

この成長の背景には、Ryzen 9000シリーズ「Granite Ridge」の人気があります。同CPUは性能を重視するハイエンドゲーマーを中心に人気を集めており、デスクトップ市場におけるAMDの存在感をさらに高める結果となりました。
一方、Intelは人気の高い第13および14世代CoreであるRaptor Lake系CPUの供給不足や値上がりに直面しました。加えて、最新世代のArrow LakeベースCore Ultra 200シリーズが販売ペースの拡大に苦戦したことで、シェアを67.8%から66.4%へと縮小させています。

なお、ハイエンド向けCPUの販売拡大はAMDの収益にも大きく寄与しています。同セグメントの営業利益率は前年同期の12%から今期は21%へ大きく拡大し、売上高も47%増を記録しています。
モバイル市場は辛うじてシェア拡大もIntelも善戦
モバイルPC市場では、AMDは第1および第2四半期にIntelに対してシェアを失っていましたが、第3四半期には回復基調に転じました。シェアは前四半期の20.6%から21.9%へと1.3ポイント上昇し、Intelは79.4%から78.1%へと減少しています。

この変動の背景には、Intelがエントリー向けで人気だったRaptor Lake系CPUの出荷抑制や価格値上げを行ったことが要因と見られます。ただし、それでもIntelは同セグメントで善戦しており、前年同期比では0.4ポイント増を記録しています。
なお、Intelは2026年第1四半期からPanther Lakeを投入する一方で、AMDのノートPC向け新製品は2026年終わりから2027年第1四半期になる予定です。このため、同セグメントにおいてはIntelのシェアが再び拡大することが予想されます。
サーバー市場は小幅ながらも拡大
サーバー向けプロセッサ市場において、AMDは第3四半期に27.8%のシェアを獲得し、前四半期の27.3%から0.5ポイント上昇しました。Intelのシェアは72.2%となり、依然として市場の大半を占めていますが、AMDは着実にシェアを拡大し続けています。

AMDは2025年第3四半期にZen 5アーキテクチャを搭載するEPYC Turinの出荷を本格化させています。特に最大256コアというコア数を武器にシェアを伸ばし、さらに収益も過去最高を記録しています。
一方、IntelもGranite Rapids世代のXeonの出荷を拡大させており、採用数も増えてきています。これによりAMDのシェア拡大は以前ほど大きくは伸びなくなってきています。
なお、サーバー向けCPUはデータセンターの建設ラッシュを背景に出荷数が全体で増える見通しです。このデータセンター建設ラッシュの中で、AMDとIntelのシェアにどのような違いが出てくるのか、今後注目が集まります。
AMDのシェアは年々伸びる傾向にありましたが、ここ最近はIntelもシェア維持に向けて競争力を上げようと努力しているためか、伸び率は徐々に小さくなってきている印象です。特にサーバー向けでは明確に右肩上がりでしたが、Granite RapidsなどでAMDのシェア拡大を抑えられているようで、今後さらに競争が激化すると言えそうです。
一方、デスクトップ向けはIntelの苦戦が明確で、その主な原因はArrow Lakeの失敗と言えそうです。特にこのセグメントの製品は2026年終わり頃登場のNova LakeまでAMDの独壇場が続くと考えられるため、2026年終わりまでに40%超えのシェアもあり得そうな状況です。このままシェアが伸び続けるのか、Arrow Lake Refreshで一定の歯止めがかかるのか注目です。



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