Qualcommはここ数年、同社のチップセット製造にサムスン製ファウンドリーの使用を検討していましたが、歩留まりの観点から度々見送られてきました。しかし、現在開発中のサムスン2nmプロセスでは歩留まりなど技術水準が向上してきたことから、限定的にSnapdragon 8 Elite Gen 5の製造が行われる可能性が浮上しています。
サムスン2nmで作られたSnapdragon 8 Elite Gen 5が試作段階に
QualcommのSnapdragon 8 Elite Gen 5は、TSMC 3nmの第3世代版であるN3Pで製造されることが明らかにされています。しかし、リーカーのJukanlosreve氏によると、Qualcommはサムスンの2nm系であるSF2プロセスを用いたSnapdragon 8 Elite Gen 5が試作段階に達していることを明らかにしました。
According to sources, it’s not true that making Snapdragon at Samsung Foundry has been canceled. It’s in trial production, and there are no signs of cancellation.
— Jukan (@Jukanlosreve) September 30, 2025
量産実現までは高いハードル。Qualcommは歩留まり70%を求めている
Jukanlosreve氏によると、サムスンで製造されるSnapdragon 8 Elite Gen 5は、TSMC 3nmで製造されるモデルの正式発表後も開発中止の兆候は見られず、試作品が登場しているとのことです。また、同チップセットはGalaxy Z Flip 8など、一般には流通せずサムスン製端末にのみ搭載されるチップセットとなるようです。
ただ、正式に量産開始されるかは歩留まり次第といえます。現状、SF2プロセスはサムスン自社開発のExynos 2600において50%の歩留まりを達成していますが、Qualcomm製チップでも同様の歩留まりを実現できているのかは現時点で不明です。
また、仮に歩留まり50%を実現できていても、Qualcommが採算を取るには量産開始時までに60%、そして最終的には70%を超える歩留まりが求められると見られています。サムスンがこの水準を達成できるかが、SF2で製造されるSnapdragon 8 Elite Gen 5実現を左右する鍵となります。
量産化されればTSMCの代替として期待も
QualcommはチップセットのほとんどをTSMCに委託していますが、初期の検討段階ではほぼ必ずサムスンが候補に挙げられており、QualcommとしてもTSMC 1社独占ではコスト競争力の観点から好ましくないと考えています。
そのため、サムスンSF2プロセスでSnapdragon 8 Elite Gen 5が量産化されれば、一部のフラッグシップやミドルレンジモデルなど多くのチップセットの供給を割り振ってもらえる可能性も見いだせます。また、検討している他の顧客に対してもアピール材料になるため、今後の動向に注目が集まります。
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